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【ペットのプロ解説】飼い主が学ぼう!ドッグトレーニング専門用語集

岡田 敏宏
記事内に商品プロモーションを含む場合があります
いぬのきもち・ねこのきもち

いぬのきもち・ねこのきもち
岡田
岡田

こんにちは!

埼玉県さいたま市北区にある
犬猫専門 飼育相談&しつけ教室

Pet Life Consulting シンビオーシス

代表の岡田敏宏です!

(ドッグトレーナー・動物看護士・トリマー)

犬の飼育やしつけをするうえで、犬の生態や学習理論などを理解してあげることは

円滑で幸福度の高い生活をするうえでとても重要です。

おうちの子のことを理解して共生していくための基礎知識をぜひ学んでください。

  • この記事を見ると専門用語を知ることができます
  • しつけ飼育を理解する上での基礎知識を学ぶことができます

専門知識を知っていればおうちの子に応用してあげられます。

ただ家庭での生活環境や今までの経験により変わってきますので

行動修正やトレーニングは専門家に相談するのが分かりやすいかと思います。

岡田
岡田

難しい専門用語や知識なしでも

分かりやすく説明してくれて練習できる

しつけ教室がおすすめですので

頭パンクしちゃう!という方はぜひ来てくださいね!

色んな条件や過去の経験や現状を判断した上で必要な情報と技術をお伝えしていければと思います。

それではかなりの物量ですが50音順になっていますので全部チェックお願いします!

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専門用語を学んでみよう

ドッグトレーニング専門用語

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行
ら行
わ行

あ行

アイコンタクト
動物の個体同士が目と目を合わせるで交わす非言語コミュニケーション方法の一つ。犬のコミュニケーションにおいて、時に互いの目が合うことは威嚇を表し、敵対行動として作用するので、人が犬の目をじっと見つめるのは注意が必要である。その一方で、犬が人の目を見つめる行動は愛着行動として作用し、人の養育行動を引き出すことが生物学的な絆の形成として科学的に明らかとなっている。ドッグトレーニングにおいては、犬が指示を正確に聞く際にハンドラーへ注目することが重要視されるが、その指標の一つとしてアイコンタクトが用いられる事がある。ただし、指示を実行するためにはあくまでハンドラーへの注意を向けることが重要であり、必ずしも目が合わないといけないということはない。

愛着(あいちゃく)
個体間の情緒的な結びつきのこと。人の場合、育児をしてもらう相手とされる側との間で相互的に形成される感情のこと。養育欲を満たしてくれる身近な動物に対しても、同様な愛着が形成される。人・犬間においては、視線が愛着行動として作用し、オキシトシンを介することで異種間において初めて生物学的絆を形成するとして発表された。

アジリティ
ドッグスポーツとして行われる犬の障害物競走のこと。ハードルやスラロームなど多数の障害物がある。体高によってクラス分けされ、実施団体により使用する障害物の規格が違う。犬の本能的な運動欲求を満たすことのできるドッグスポーツの一つである。

遊び攻撃行動(あそびこうげきこうどう)
遊戯行動中におこる吠える、うなる、歯をあてるといった攻撃行動。子犬期の他の犬との遊びや、飼い主との遊びの中で適切な経験をできなかったことにより、適切な遊び方を学習していないケースもある。遊び中のうなり声と他の攻撃行動による威嚇や攻撃前に行ううなり声は明確に区別でき、トーンや持続時間に注意すべきであるが、一般の飼い主にはわかりづらい場合があるので専門家による教育が必要である。

穴掘り(あなほり)
地面に四肢やマズルを使い穴を掘る行動。ひっかいて印をつける、何かを埋めるなどもこれに当たる。正常な行動として犬の行動レパートリーに含まれているものの、飼育環境によっては問題行動として認識される。家の中で眠たいのに眠れない時など、土などの掘れる地面がないのにもかかわらず、真空行動として表出するケースもある。

αシンドローム(あるふぁしんどろーむ)
獣医学、動物行動学において科学的根拠・定義のない用語。体系的な学問に基づいて行われる行動治療・修正の現場では使われない。飼い主と犬の順位が逆転し犬が群れのボスやリーダーになった状態、いわゆる上下関係の崩壊により、指示に従わなかったり、気にいらないことに対し噛む、うなるなどの問題行動を見せる状態として書籍等で紹介される事が多いが、現在ではそもそも犬が人と順位を競い合うという考え自体が科学的に否定されている。

アルファロール
人と犬の上下関係(そもそも犬は人間に対して上下関係を求めるという説は科学的に否定されている)を明確にさせるために、犬の態勢を仰向けにして押さえ込み服従させる方法として行われている。近年では、この手法は、力づくで押さえ込むことで犬に恐怖心を抱かせて委縮させ、しつけや問題行動を修正する方法として認識されており、もともと仰向けにされてお腹を触られることが苦手な犬に対して、無理やり触られることで恐怖心から自分の身を守ろうとして、犬の攻撃行動(吠える、噛みつくなど)を引き起こす問題に発展する危険性がある。

威嚇(いかく)
自分の資源や身を守るために示す自らの力を誇示する行為。犬の場合、背中の毛を立たせ、自分を大きく見せるような前傾姿勢や、吠える、唸る、歯むき出すといった行動を伴う。

鋳型法(いがたほう)
物理的に目的の行動を取らせて、新しい行動を獲得する手法。例えば、犬の腰を押して座る状態にしてから、強化子を与えることで、座る行動を学習させる手法。ただし、体を触る刺激を厳密に一定にしなければ、言葉の合図(「おすわり」など)の学習が円滑に行われないので、注意が必要である。

移行期(いこうき)
生後2~3週齢の時期を指す。感覚器が急速に発達し、犬種により誤差はあるものの、離乳しはじめ、目が開き耳が聞こえはじめる時期である。脳の運動野が発達することで運動能力が向上し、新生児期と比べ活発に動きはじめ、兄弟犬と社会的なシグナルを使用しコミュニケーションを取る。古典的条件付け、オペラント条件付けに関する能力もこの頃から身につけはじめる。

維持行動(いじこうどう)
摂食や飲水など生命維持不可欠な行動をまとめて維持行動と言う。その内、個体単体で行うものが、摂食行動、飲水行動、休息行動、排泄行動、護身行動、身繕い行動、探索行動、遊戯行動。2個体以上の個体での相互関係によって発現する社会空間行動、敵対行動、親和行動、探査行動、遊戯行動がある。

異常行動(いじょうこうどう)
行動の頻度や強度がその動物の正常な状態から逸脱したものを指す。異常行動は常同行動と異常反応に分類される。

異常反応(いじょうはんのう)
単純、単調な環境で飼育されることにより刺激に対し無関心、あるいは過剰な反応を示す状態。犬の場合、屋内で飼育し、散歩に出ない生活を送ることで他の犬や様々な物音などに対し過度に恐怖を示したりする。飼い主に正しい知識がなく適切に社会化期を過ごさなかったケースや、散歩もせず劣悪な環境で飼われていたブリーダー放棄犬などで見られる事がある。

異食症(いしょくしょう)
食べ物ではないものを摂取すること。(「異嗜症(イシショウ)」とも言う。)幼い動物はさまざまな物質を噛むものであるが、そうしたものを食べてしまうことは滅多にない。人において糊や土壌を食べる行動が、食餌中の栄養が極度に不足した場合に起こることが報告されている。ペットにおける異食の原因はわかっていない。

一次条件付け(いちじじょうけんづけ)
古典的条件付けの学習が行われた際、条件刺激が直接、無条件反応を引き起こすように強化(古典的条件付けにおける)されることを一次条件付けと呼ぶ。パブロフの実験では、無条件刺激である餌と中性刺激であるベルの音を対呈示し、ベルの音を聞かせるだけで涎の分泌を直接引き起こすようになったため、ベルの音と唾液分泌は一次条件付けを形成したこととなる。犬のトレーニングでは褒め言葉を教える際、褒め言葉と食べ物を同時に提示する手続きを行い、褒め言葉をかけるだけで犬が喜ぶように条件付けするが、この褒め言葉は無条件刺激である食べ物と直接結びついた条件刺激であるため、褒め言葉は一次条件付けが形成された刺激となる。

一次性強化子(いちじせいきょうかし)
生得的に正や負の強化子になるものを一次性強化子と呼ぶ。正の強化における一次性強化子は、動物が本質的に好きなもの(食べ物、飲み物、遊ぶ、散歩に行くなど)といったその動物にとっての快刺激で、負の強化における一次性強化子は、動物が本質的に嫌いなもの(大きな音、嫌な臭い、体罰など)など、その動物にとっての嫌悪刺激となる。別名、無条件性強化子。

一次性罰子(いちじせいばっし)
生得的に正や負の罰子になるものを一次性罰子と呼ぶ。正の罰における一次性罰子は、動物が本質的に嫌いなもの(大きな音、嫌な臭い、体罰など)といったその動物にとっての嫌悪刺激で、負の罰における一次性罰子は、動物が本質的に好きなもの(食べ物、飲み物、遊ぶ、散歩に行くなど)など、その動物にとっての快刺激となる。別名:無条件性罰子。

犬のしつけ(いぬのしつけ)
人社会で受け入れられる本能的欲求の満たし方を犬に教育すること。人をはじめとした動物は、それぞれの種が生まれつき持つ正常な行動(習性)を表現することで、本能的欲求を満たすことができる。そのため、犬が人社会でストレスなく幸せに暮らしていくためには、犬の習性に配慮し本能的欲求が満たせる飼い方を飼い主が心掛けなければならない。一方、人にとって望ましくない方法で犬が本能的欲求を満たすようになってしまうと、様々な問題行動に発展してしまい、場合によっては犬が人社会で生活することが困難になってしまう場合がある。人と犬が共に幸せに暮らしていくためには、それぞれの飼い主が人社会で犬を飼う上でのモラルやルールを考慮し犬の福祉に配慮しながら、人社会で受け入れられる本能的欲求の満たし方を犬に教育する必要がある。

飲水行動(いんすいこうどう)
水を摂取する行動。水を飲む以外に、食物代謝水から水分は得ることができる。水分要求量は、年齢、活動性、温度、湿度、摂食食物、健康状態など、様々な要因によって変化するが、平均的な生活環境で飼育されている成犬の平均1日飲水量は、60~70ml/㎏である。

陰性強化法(いんせいきょうかほう)
オペラント条件付けにおける負の強化を中心として行われるトレーニング手法のこと。不快刺激を用いたこの手法は、不快刺激を与えるタイミングや強度の設定が難しいこと、恐怖反応の増大する可能性があること、攻撃性が高まる可能性がある事、犬の体を傷つけてしまう可能性があることなど、さまざまな危険を伴うため推奨されるべきではない。また、動物福祉の観点からも、現在は陰性強化法ではなく陽性強化法を用いたトレーニングが主流となりつつある。

隠蔽(いんぺい)
強度が違う2種類の刺激を同時に呈示するような複合条件づけの場合、その刺激に伴う反応がより強い刺激に対して反応するようになる現象。

鋭敏化(えいびんか)
無条件刺激を提示し続けることで、無条件反応が増大することを鋭敏化という。一般的に、刺激が強いと鋭敏化が起こりやすく、刺激が弱いと馴化が起こりやすい。特定の音が苦手な犬に、慣らすために大きな音量で特定の音を聞かせ続けると、慣れるどころかさらに恐怖反応が強くなったり、以前より小さな音量でも恐怖反応が見られるようになる。

遠隔罰(えんかくばつ)
オペラント条件付けにおける正の罰として物事にたいして驚愕や恐怖を飼い主を通してではなく、別の手段で与える方法。空き缶やペットボトルを遠方に投げて罰として与えたりするのが一般的に言われる遠隔罰だが正の罰として警戒による吠えの時に使用すると恐怖に恐怖(罰)で吠え自体は止む可能性もあるが警戒度は下がらず上がるので正の罰含めおすすめしない方法。

延滞条件付け(えんたいじょうけんづけ)(古典的条件付けにおける)
順行条件付け(古典的条件付けにおける)の一つで、条件刺激の提示中もしくは提示直後に無条件刺激を提示する方法。一般的に痕跡条件付け(古典的条件付けにおける)よりも延滞条件付けの方が条件反応が強く形成される。

尾追い(おおい)
自身の尾を頻繁に追い回す行動。常同行動の一つで、ひどい場合は出血や場合によっては尾を噛み切るケースもある。柴犬やジャックラッセルテリア、ジャーマンシェパード、ブルテリアに好発し、遺伝的な要因との関連が疑われている。

オートシェイピング
自動反応形成のこと

オビディエンス
服従訓練のことを指す。脚側行進(人の横について歩く、走る、止まるなど)、停座(座る)、伏臥(伏せる)、招呼(呼び戻し)などの指示を行い、正確性を競う競技である。日本では、JKC(ジャパンケンネルクラブ)やOPDES(NPO法人犬の総合教育社会化推進機構)などの団体が開催している。

オペラント条件付け(おぺらんとじょうけんづけ)
動物が何かしらの行動をした際、結果として生じたことによってその環境への適応的な行動を学習することをオペラント条件付けという。オペラント条件付けの基本的な原理は、アメリカの心理学者ソーンダイク(Edward L. Thorndike)によって提唱され、「効果の法則」と呼ばれていた。その後、アメリカの心理学者「バラス・フレデリック・スキナー」(Burrhus Frederic Skinne)が、ヒトを含む動物の行動をレスポンデントとオペラントに分類し、パブロフの条件反射をレスポンデント条件づけ(古典的条件付け)として、またソーンダイクの試行錯誤学習をオペラント条件づけとして再定式化し、行動分析学を体系化した。
オペラント条件付けでは、三項随伴性と呼ばれる「弁別刺激-反応-結果」の関係性を学習し、反応した結果によって再び同一の弁別刺激を受けた際に学習した反応の頻度が変化する。オペラントは行動を操作するオペレーション(operration)に由来する用語で、犬のトレーニングでは、行動のコントロールをする際にオペラント条件付けが用いらる。オペラント条件付けは、反応した結果の種類によって、「正の強化」、「負の強化」、「正の罰」、「負の罰」に分類される。

音響恐怖症(おんきょうきょうふしょう)
雷や花火などの音刺激に対する過剰な恐怖反応。刺激を受容することで突然強い反応が見られ、刺激の回避や逃避、震えるなどの不安を示す行動がが見られる。時には出血しながらもクレートを食い破り刺激から逃れようとするケースもある。防音設備付きのクレートなど、刺激に暴露しないような物理的な対処が解決策となる。
※環境音トレーニングでの馴致も検討

か行

カーミングキャップ
犬の顔にかぶせる伸縮性の覆面で視界を遮ることが出来る道具。競走馬にも同様な視覚を遮るブリンカー(遮眼革)や音を遮るメンコと呼ばれる覆面を被せることがある。視覚範囲の広い馬の一部の視界を制限したり、音刺激の抑制、顔にかかる砂を防御することで、馬の意識を他の刺激に惑わされずに競争や調教に集中される道具として使われている。犬でも同様に視覚を物理的に隠すことで視覚刺激から起こる不安・恐怖や興奮などの反応を制限することで恐怖反応を減少させることが出来る。

カーミングシグナル
自分と相手を落ち着かせるための合図として、ノルウェーのドッグトレーナーのトゥーリッド・ルーガス(Turid Rugaas)により27項目の行動を提唱された。代表的な項目であるイヌのあくびは、自分を落ち着かせるための意味と相手に落ち着いてほしい時に出す合図として発表している。しかしながら、コミュニケーションの一環として自分の状態を相手に伝えるという解釈は科学的な根拠には乏しく、学術用語としては用いられない。動物行動学ではカーミングシグナルと言われる行動の多くは葛藤行動として説明されいている。

快刺激(かいしげき)
動物にとって快く感じるものを快刺激という。快刺激を受けると、中脳の腹側被蓋野から大脳皮質に投射する「報酬系回路」が刺激されることでドーパミンの分泌が促され「快」の感情が生じる。本質的に、脳は「快」に向かって行動するため、快刺激に対しては「安全」と判断し積極的に快刺激を受け取ろうとする。快刺激は、「食べる」、「遊ぶ」、「休む」など、本能的に快く感じるものもあれば、学習や経験によって快く感じるようになるものもある。

解発因子(かいはついんし)
特有の反応を引き起こす特定の刺激。解発刺激あるいは信号刺激とも呼ばれ、生得的行動においてこれらの刺激によって発現する機構に生得的解発機構がある。

外発的動機づけ
報酬や罰など外部刺激が行動を引き起こす原動力となる動機づけのこと。犬の場合、コマンドに従うことによって得られる食べ物などの強化子や飼い主からの叱責といった罰子によってもたらされる。内発的動機づけを外発的動機づけが阻害することもある(過剰正当化効果)。

回避行動(かいひこうどう)
嫌悪刺激(不快刺激)を避ける行動。逃避行動との混同しないように注意が必要である。逃避行動とは何らかの嫌悪刺激が提示された際に、逃げようと避けることであり、回避行動は、何らかの嫌悪刺激が提示されることを予期・警告する刺激を受け、あらかじめ刺激を避けるという行動である。

外部刺激(がいぶしげき)
動物の体外環境からの刺激のこと。動物は外部刺激を五感で感じとり情報として脳に伝え処理する。

カウンターコマンド
代替行動を発現させる指示のこと。犬の問題行動において、例えば飛びついてしまう犬に対し、指示された時に「座る」ことを教えることで座る行動と相反する飛びつきを減らすことをする。この時の「座れ」という指示がカウンターコマンドに当たる。

鍵刺激(かぎしげき)
動物が本来持っている特定の生得的行動を引き出す刺激となるもの。例えば、犬の新生子期では母犬の乳首に触れる(鍵刺激)ことで乳首を吸う(吸啜反応)が発現される。

学習(がくしゅう)
動物が生後の経験によって行動を変化させること。学習の仕方には、「オペラント条件付け」、「古典的条件付け」、「馴化」など様々な種類がある。

学習理論(がくしゅうりろん)
「馴化」「鋭敏化」「古典的条件付け」「オペラント条件付け」など動物が経験により行動を変化させる「学習」の仕組みや基本原理のこと。犬のトレーニングや問題行動修正に不可欠な理論である。犬のしつけやトレーニングの現場において学習理論=行動学と勘違いされているが、学習理論はあくまで行動学の一部でしかない。

学習性無力症(がくしゅうせいむりょくしょう)
嫌悪刺激を用いた行動の抑制が起こった際、無気力になりその場から動かなくなってしまうこと。例えば、留守番中にオシッコをしてしまった犬に、帰宅した飼い主がいつも強い口調で叱る場合。飼い主の帰宅時に、飼い主の元に近づかないどころか、その場から動かないでいるようになる。さらに、他の場面でも強い罰刺激をあたることで、学習に対する意欲が低下し、その場で動かなくなってしまうのも同じことである。

過剰正当化効果(かじょうせいとうかこうか)
外的な報酬を与えることで内発的動機づけが失われてしまうこと。犬では行動自体を楽しんでいた場合など、外発的な強化子がなくてもできていたことが、フードなどの強化子を与えることにより強化子なしではできなくなることがこれにあたる。別名アンダーマイニング効果。

家畜化(かちくか)
ヒトが使役や食料といった様々な利用目的のために動物の生殖を管理し、飼育管理をする過程のこと
研究者により多少前後があるものの、犬はハイイロオオカミよりおよそ35000~12000年前に家畜化されたといわれている。

葛藤行動(かっとうこうどう)
2つ以上の互いに矛盾する欲求が存在するような葛藤状態に示す行動で失宜行動に分類される。葛藤行動はさらに転位行動、転嫁行動、真空行動に分類される。ある種のストレス状態を表しているが、必ずしもすべてが悪いわけではない。葛藤がもとになる犬の問題行動の修正は葛藤を引き起こす刺激に対し、恐怖や不安の反応を示さないように拮抗条件付けおよび系統的脱感作を用いたり、刺激を減弱、回避し葛藤行動を起こさせないことで対処する。

噛みつきの抑制(かみつきのよくせい)
他の犬に対して、過剰な強さで歯を当てないようにすること。さらに、人に対しては歯を当てないように抑えること。犬は、社会化期の同腹犬との関わり合いによって、歯を当てる加減を覚える(子犬同士の遊びの中で、相手を強く噛んでしまうと、痛がってどこかに行ってしまい、遊びが終わってしまうことで学習する。)。さらに人に対しても、遊んでいる最中に歯が当たったら、遊びをおしまいにすることで歯を当てない遊び方を学習する。

雷恐怖症(かみなりきょうふしょう)
雷に対する過剰な恐怖反応。雷鳴による音刺激以外にも雷の光による視覚刺激や空気の振動による触覚刺激など聴覚以外の感覚器が受容することで引き起こされる場合もある。音響恐怖症と同じく刺激を受容することで突然強い反応が見られ、刺激の回避や逃避、震えるなどの不安を示す行動がが見られる。音響恐怖症を示す犬の87%は雷恐怖症を示すというデータもある。

※環境音トレーニングも検討

感受期(かんじゅき)
ある出来事が個体の発達に対し長期的に影響を与える時期のことをさす。社会化に対し高い感受性を持つ時期(学習する適切な時期)として、社会化期と同義とされることが多い。

関心を求める行動(かんしんをもとめるこうどう)
犬が飼い主からの注目を得るために示す行動。具体的には吠える、唸る、飛び跳ねる、鼻で小突く等があり、注目を得ることで正の強化により行動が増加する。このような行動の結果、飼い主から得られたものがたとえ叱責や体罰であったとしても注目を得るという犬の目的は達成されているため習慣化してしまう。あくまで関心を求めることが目的であるため、遊びや食物を得るためのいわゆる要求吠えなどとは区別される。

拮抗条件付け(きっこうじょうけんづけ)
条件刺激に対し、すでに条件付けされている無条件刺激と競合する無条件刺激を条件付けすると、はじめに強化された条件反応が弱まり、あとから条件付けされた反応が強く生じるようになる。これを拮抗条件付けという。インターホンの音と来客の存在が条件付けされ吠えるようになった犬に、インターホンの音と食べ物などのその犬が喜ぶものを同時に提示し条件付けすると、インターホンがなった際の吠えが弱まる。

逆行条件付け(ぎゃっこうじょうけんづけ)
無条件刺激の後に条件刺激を提示する方法を逆行条件付けというが、逆行条件付けでは無条件刺激と条件刺激は結びつかず学習は成立しない。犬のトレーニングで褒め言葉の「いいこ」を教える際、食べ物を与えてから「いいこ」と声をかけても、「いいこ」という言葉と食べ物は結びつかない。

逆行連鎖(ぎゃっこうれんさ)
反応連鎖を、一連の反応とは逆の順に結びつかせること。例えば、『冷蔵庫からペットボトルを取ってくる』反応連鎖を行う場合、冷蔵庫に行く(a)、次に冷蔵庫を開ける(b)、ペットボトルを口にくわえる(c)、冷蔵庫を閉める(d)、そしてペットボトルをハンドラーに持って行く(e)と分割したとする。逆行連鎖では順行連鎖とは逆に、eから学習させ、次にd→e、c→d→e、b→c→d→e、そして最後にa→b→c→d→eとしていく。報酬が最後のeをした段階で与えられるので、途中の反応で止まってしまうことがなく、順向連鎖に比べると反応連鎖が起こしやすくなる。

休息行動(きゅうそくこうどう)
エネルギー消費を少なくし、回復をはかる行動。座った姿勢や伏せた姿勢になる。犬はもともと巣穴で暮らし、静かで薄暗く囲われたような休息の場所(寝床)として好む習性がある。また、柔らかい場所で寝ることを好むため、外飼いの犬などは前肢で土を掘り起こして寝床を作ることがある。室内飼育の犬の場合、ソファやベッド、クッションなどを寝床として好み、クッションなどの前肢で掘る行動も発現することがよくある。

強化(きょうか)(オペラント条件付けにおける)
オペラント条件付けの学習によって、行動の頻度が高まることを強化と呼ぶ。反応したことで良い結果(快刺激)が与えられる正の強化と、反応したことで悪い結果(嫌悪刺激)が取り除かれる負の強化で行動の頻度は高まる。

強化(きょうか)(古典的条件付けにおける)
古典的条件付けの場合、無条件刺激と中性刺激を繰り返し対呈示することで、中性刺激のみで無条件反応が生じるようになることを強化と呼ぶ。古典的条件付けによって強化された際には、中性刺激は条件刺激、条件刺激によって引き起こされた無条件反応は条件反応と呼ぶ。インターホンの音で犬が吠えることがあるが、もともと、インターホンの音はその犬にとって何の反応も生じさせない中性刺激である。しかし、来客に対して無条件反応である警戒心を持つ犬であれば、来客の存在自体が不安などの気持ちを生じさせる無条件刺激であるが、来客が訪問する際に必ずインターホンのが鳴ることで無条件刺激の来客と結びつき、インターホンの音が中性刺激として強化されて不安を生じさせる。

強化子(きょうかし)
オペラント条件付けで、結果として出現したりなくなることで反応の頻度を高める刺激を強化子と呼ぶ。
正の強化で反応を高める刺激を「正の強化子」、負の強化で反応を高める刺激を「負の強化子」と呼ぶ。

強化スケジュール(きょうかすけじゅーる)
動物の反応の後に与える報酬を、どういったタイミングで与えるかの計画(スケジュール)をいう。このスケジュールには、主に連続強化、部分強化、分化強化が含まれる。

強迫神経症(きょうはくしんけいしょう)
常同障害のこと。近年、犬が強迫観念を抱き、行動を発現しているか不明であり、そのように証明する事自体が不可能であるため、強迫神経症や強迫障害という言葉は動物には用いらなくなっている。

恐怖条件付け(きょうふじょうけんづけ)
音や光や場所など、その刺激自体に恐怖反応を形成しない刺激(条件刺激)と、電気ショックなどの恐怖反応を形成する刺激を対呈示することで、恐怖反応を形成しなかった刺激のみでも恐怖反応を示すようになる手続き。ランプが点灯すると電気ショックが流れる装置の中で恐怖条件づけが成立すると、電気ショックを流さなくてもランプが点灯するだけで恐怖反応が示される。
ただし、電気ショックが流れない状態でランプのみ点灯を繰り返すと恐怖反応が消失する消去(古典的条件付けにおける)が起こる。

恐怖性攻撃行動(きょうふせいこうげきこうどう)
恐怖刺激に対する攻撃行動。攻撃行動により恐怖刺激を回避できた場合、負の強化により重篤化を招き、積極的に攻撃に出るようになる。行動修正では恐怖刺激への馴致、脱感作、拮抗条件付けを行う。

去勢(きょせい)
生殖に必要な器官を切除し繁殖不能にすること。犬の場合、精巣を摘出する。マーキング、マウンティングなど雄犬特有のテストステロンが関与する問題行動の改善や病気の予防、改善として行われる外科的処置の一つである。去勢によりテストステロンは著しく減少するが、問題行動は学習の要因など生理学的要因以外も影響するため、全てが解決するわけではない。しかしながら、行動を起こしたいというモチベーションに作用するため、雄特有の行動欲求の低下や、行動の強度や持続時間に変化をもたらし、問題を減らすのに有効である。去勢の時期は体の成長など行動学的な要因以外にも考慮すべき項目があるため、獣医師との相談を推奨する。

クリッカー
形状は様々なタイプがあるが、プラスチックの箱にアルミ板が設置されており、アルミ板を押すと「カチン」という金属音がなる。クリッカーを鳴らした後に報酬を与えることによって、金属音を二次性強化子として学習させることが可能で、誰でも同じ音で褒めることができ、瞬間的な行動や遠隔でも行動を強化(オペラント条件付けにおける)できる。
クリッカーの金属音に対して怖がるなど嫌悪刺激として認識する個体もいるので注意が必要。2024年現在、クリッカーを用いることがその他の方法と比べ学習が早くなるということは証明されていない。

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クリッカートレーニング
クリッカー(クリック音がなる道具)を使い、その音を二次性強化子として、様々な学習をさせていくトレーニング方法。まずは、クリック音の後に報酬を与えることで、動物にとって快刺激として条件付ける(古典的条件付け)。そして、主に誘発法を基本とした逐次接近法のトレーニングを行うが、身体的誘導法や鋳型法でのトレーニング時に、二次性強化子として使用しても学習は成立する。さらに、クリッカーを用いた拮抗条件付けを行うこともある。なお、褒め言葉よりもクリッカーを使うことで学習が早くなるという研究報告はない。

グルーミング
舌や歯、肢などを用いて体表をかく行動。物に体をこすりつけること、身震いなどもグルーミング目的の行動と含まれる。皮膚や被毛を毛についた寄生虫や汚れを取り除く目的や、体毛を整えるために行われる。身繕い行動として自らの体に行うこともあれば、他個体に向けて親和行動、母子行動として発現することがある。さらに、不安状態やストレスがかかったときなどの転位行動として示されることもある。

クレート
プラスチック製のハウスをのことを指すことが多い。床から天井まで四方が囲まれており壁、扉がついているもの。耐久性、耐衝撃性が高く、航空輸送に使用できるものもある。小さいものであれば犬を入れたまま持ち運びが可能である。犬の休息スペースとして用いられる。
布製のものもあり、「ソフトクレート」、「メッシュケージ」と呼ばれる。折り畳みができるものが多く、軽いため、持ち運びがしやすい。ただし、犬を入れたまま運ぶことは難しい。他のタイプのハウスに比べ、耐久性が低い。

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クレートトレーニング
所定の寝床(クレート)で休み、扉が閉まっていても大人しく、リラックスすることを身につけるトレーニングのこと。家庭内で休む時や、電車・車での移動時、旅行先、そして最近では災害時の同行避難、同伴避難の際に必要とされる。

継時弁別(けいじべんべつ)
2つの刺激を間隔あけて提示し、特定の刺激と随伴した行動をした時にのみ、強化子を与える弁別学習のこと。例えば、犬に「オスワリ」と言って座った時には強化子を与え、その後、異なる言葉の合図(静止性弁別刺激)を言った際、お座りやその他、何らかの反応を示したとしても強化子を与えない弁別学習方法。

系統的脱感作(けいとうてきだつかんさ
小さな刺激から徐々に馴化させる方法を系統的脱感作という。鋭敏化などの副作用のデメリットも少ないが、十分な計画を立て系統立てて実践する必要があり時間も要するため、根気よく実践する必要がある。犬のしつけにおいて拮抗条件付けと合わせて問題行動の修正に用いられる。

ケージ
天井から床まで四方が囲まれているハウス。ステンレス製の細いポールで作られているものが多い。通気性が良く、犬の様子がわかりやすく、安定感があることが特徴である。折り畳みができるものが多く、ケージのみの持ち運びはしやすい。犬の休息スペースとして用いられる。

嫌悪刺激(けんおしげき)
動物にとって不快に感じるものを嫌悪刺激という。本質的に、脳は「快」に向かって行動するため、嫌悪刺激に対しては「危険と」と判断しその刺激から逃避しようとする。嫌悪刺激は、「大きな音」、「嫌いな臭い」、「体罰」など、本能的に不快に感じるものもあれば、学習や経験によって不快に感じるようになるものもある。

権勢症候群(けんせいしょうこうぐん)
αシンドロームのこと

効果の法則(こうかのほうそく)
「動物にとって満足が伴う反応(行動)もしくは結果的に満足がもたらされる反応(行動)は、その場面とより強固に結びつき、満足が繰り返し伴えば、その反応(行動)はより繰り返されやすくなる。反対に、動物にとって不快を伴う反応(行動)もしくは結果的に不快がもたらされる反応(行動)は、その場面との結びつきが弱くなり、その反応(行動)は起きにくくなる。満足や不快が大きいほど、その結合はより強くなったり弱くなったりする」というオペラント条件付けの基本的な原理。アメリカの心理学者であるソーンダイクによって提唱された。

攻撃行動(こうげきこうどう)
他個体に対し危害を加える行動。犬の場合、ときに激しく対象を死に至らしめる場合もある。単なるしつけ不足にとどまらず、ホルモンや遺伝的な要因、疾患、学習など様々な原因があるため慎重に原因を特定し、それに見合った対処が必要となる。

高次条件付け(こうじじょうけんづけ)(古典的条件付けにおける)
既に獲得した二次条件付け(古典的条件付けにおける)に結びついた条件刺激が反応を形成することを三次条件付け、三次条件付けに結びついた条件刺激が反応を形成することを四次条件付けと呼ぶが、二次条件付け以上の条件刺激が反応を形成するのことを高次条件付けと呼ぶ。

行動(こうどう)
動物がさまざまな刺激に対して働きかけるときに示す動きのこと。刺激には体の外(外部環境)から生じ、五感で感じる外部刺激と、ホルモンの増減や血糖値の変化といった体の中で生じる内部刺激がある。

行動コンサルテーション(こうどうこんさるてーしょん)
専門家(ドッグトレーナー)による体系的な問題行動のカウンセリング・修正・アドバイスのこと。

行動修正(こうどうしゅうせい)
馴化や系統的脱感作、古典的条件付け、オペラント条件付けなどの学習理論に基づき、行動を変様させること。問題行動を形成している刺激や結果を特定し、これらを除去、減弱、または変化させることで、問題行動を消去(オペラント条件付けにおける)したり減少させるか、問題となっている行動自体を好ましい行動と置き換えることで修正を行う。

行動主義(こうどうしゅぎ)
1913年にJ.B. ワトソンにより提唱された心理学のアプローチの一つ。行動的アプローチともいう。ブラックボックスのような外からは観察できない心的な要因を考えずに科学的に行動を観察することによって行動の形成・変化などのメカニズムを解明できると主張した。

興奮性排尿(こうふんせいはいにょう)
いわゆるウレションのこと。筋肉が未発達な幼犬に多く見られ、成長とともになくなる。対処としては膀胱を空にする、犬が興奮するようなアプローチ(大きな声を出す、過度さわるなど)をしないよう心がけることが重要である。

興奮性弁別刺激(こうふんせいべんべつしげき)
反応(行動)と結果(報酬)に随伴(先行)した刺激のことを言う。

護身行動(ごしんこうどう)
体の保護や生理的恒常性維持のために示す自分の身を護るための行動。体温調整のために行わる水浴び、日陰に移動するなどがこれに含まれる。犬は、人間の皮膚のように汗腺が発達しておらず、汗をかいて体温調整することができない。犬は浅速呼吸(パンティング)により蒸散を行い、体温を調整する。

固定時隔スケジュール(こていじかくすけじゅーる)
部分強化スケジュールの一種で、一定の時間が経過した後、最初の反応に対して強化子が与えられる手続きのことをいう。そして強化子の呈示後、一定の時間を計時し同様の条件付けを繰り返す。定めた時間が経過する前の反応に対しては、強化子が与えらない。

固定比率スケジュール(こていひりつすけじゅーる)
部分強化スケジュールの一種で、一定回数の反応に対して、報酬を与える強化方法のこと。例えば、3回目に報酬を与える決めた場合、犬が3回、特定の反応をしなければ報酬を与えない。

古典的条件付け(こてんてきじょうけんづけ)
ロシアの生理学者イワン・パブロフによって発見された学習の一形態。無条件刺激と同時に中性刺激を繰り返し与えるこで、中性刺激が条件刺激となり、無条件反応と同じ反応の条件反応を引き起こすようになる学習の過程。パブロフの実験では、犬に餌を与える際、何の反応を示さないベルの音を毎日繰り返し聞かせると、犬にベルの音だけを聞かせただけで唾液を分泌するようになった。このように、古典的条件付けは、動物の生まれながらに備わった反応が、それまで全く関係のない何らかの刺激によって誘発されるようになるタイプの学習である。古典的条件付けでは、心拍、血流、発汗、睡眠、消化、性的反応のほか、喜びや恐れ、不安、排泄などの無意識に起こる身体機能(不随意反応)が、新しい刺激に対しても反応するようになるという特徴があり、犬のトレーニングでは、感情のコントロールをする際に古典的条件付けが用いられ、苦手なものを慣らす拮抗条件付けを行う際に利用される。

古典的条件付けと忘却(こてんてきじょうけんづけとぼうきゃく)(消去)
条件刺激によって条件反応が生じるようになっても、条件刺激を提示してから無条件刺激の提示をしないことを続けると、条件刺激を提示したさいの条件反応が弱まるが、このような過程を消去(古典的条件付けにおける)と呼ぶ。褒め言葉の後にご褒美を与えると、褒め言葉をかけるだけでご褒美をもらった時と同じような嬉しい感情が働くようになるが、その後、褒め言葉をかけるだけでご褒美を与え続けないと、褒め言葉をかけられるだけでは徐々に嬉しい感情は弱まってくる。しかし、消去を行えば完全に忘れてしまうわけではなく、あくまでも反応が弱まるわけで学習したことを忘却するわけではない。

痕跡条件付け(こんせきじょうけんづけ)(古典的条件付けにおける)
順行条件付け(古典的条件付けにおける)の一つで、条件刺激の提示が終了後、しばらくしてから無条件刺激を提示する方法。

コマンドトレーニング
声符(声の合図)や指符(ハンドサイン)といった弁別刺激に結びついた所定の反応をするようにトレーニングすること。コマンド(command)とは、『命令』の意味が含まれるため、キュー(cue):『合図』と書かれている書籍もある。 いずれにせよ、三項随伴性を成立させるための、先行刺激を学習させている。

コントロールハーネス
引っ張り防止を目的とする胴輪のこと。胸前中心部にリードが繋がれているコントロールハーネスは、前に力を入れて進もうとすると横に力が分散されるため引っ張りづらくなる。前に引っ張れない状態を作り、ハンドラーの横について歩いているときに報酬を与えるなどの歩行トレーニングが必要であるが、イヌの扱いに馴れていない人や力の弱い人でも比較的容易に使用することが出来る。後ずさりする個体や足の短いイヌはハーネスが脱げやすいので慣れるまでは首輪と一緒に止めると安全に使用できる。

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さ行

サークル
サークルはケージと異なり側面のみ、または側面と床のみ囲まれたハウス。 ケージと同じようにステンレスの細いポールで作られているものが多い。通気性が良く、犬の様子がわかりやすい。基本的に屋根がないものが多いが現在は屋根付きのものも販売されている。持ち運びは基本的にできない。
サークルの中に、クレートやベッド、トイレを入れることが多く、ケージよりも大きいことが特徴である。サークルは犬専用の生活スペースとして用いられる。

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三項随伴性(さんこうずいはんせい)
オペラント条件付けの(先行)刺激→反応→結果の三項目が、お互いに従属関係にあることをいう。例えば、「オスワリ」の合図(弁別刺激)で座り(反応し)、ご褒美(結果)が得られる関係性のこと。一方、「おいで」の合図で犬が飼い主の元に来て、ご褒美がもらえる三項随伴性が成立したの後、報酬(ご褒美)の代わりに爪切りなど嫌な結果を得てしまうと、同じ弁別刺激に異なる結果が伴う事になり、呼び戻しがしにくくなる。

サンダーシャツ
伸縮性の犬用ウェアで、アメリカの動物学者テンプル・グランディンが牛などの家畜にワクチン接種する際に家畜を保定するために使用していた締め付け機をヒントに開発された。適度な圧力で犬の体を包むことで精神的な不安や恐怖、過剰な興奮を和らげることが出来る。サンダーシャツは、日常の生活の中で落ち着いている状態の時に着用し、シャツを着ていることで落ち着いた心理状況を維持できるように条件づけをすることで、実際の雷などの刺激で不安や恐怖反応が発現する前に着用し、普段よりも刺激に対して過剰に反応せずに落ち着いていられるため刺激の馴化の効果も期待できる。

シェイクトレーナー
スチール製の円筒状の缶の中に金属の粒が多数入っていて、振ると高い金属音が鳴る。犬の望ましくない行動を減少させるときに罰子として用いる道具。事前に音が鳴ると報酬がなくなること(二次的負の罰子として)を学習させてからの使用が本来の使い方である。金属音に敏感な個体にとっては恐怖反応を引き起こすので使用する際には注意が必要。

ジェントリング
動物がリラックスした状態で、体の各部位を触らせてくれること。犬の場合、飼い主だけでなく、他人にも触られることに馴らすことで、動物病院での診察が受けやすくなるなど、多くのメリットがある。

刺激性制御(しげきせいせいぎょ)(オペラント条件付けにおける)
特定の刺激によって行動が生じたり、生じる行動の種類が変わることを刺激性制御という。オペラント条件付けでは、三項随伴性と呼ばれる「弁別刺激-反応-結果」の関係性を学習し、反応した結果によって再び同一の弁別刺激を受けた際に学習した反応の頻度が変化するが、ある弁別刺激のもとでは動物が反応し、それ以外の刺激では反応しない場合、弁別刺激が反応を制御しているため刺激性抑制という。犬のトレーニングで“お座り”という言葉を弁別刺激で座るように学習させた場合、“伏せ”という言葉では座らなければ刺激性制御が生じている。

刺激性制御(しげきせいせいぎょ)(古典的条件付けにおける)
特定の刺激によって行動が生じたり、生じる行動の種類が変わることを刺激性制御という。古典的条件付けでは、行動を生じさせない中性刺激が学習することによって条件刺激となり条件反応を生じさせるようになるが、このときの条件反応は、条件刺激が与えられた時だけに見られ、条件刺激が与えられない時は反応が見られない。刺激性制御には、2つの正反対の般化と弁別の過程が関係している。

刺激特定性(しげきとくていせい)
馴化は学習した刺激に対して特定的であり、馴化した刺激には反応を示さなくても他の刺激には反応を示す。これを刺激特定性という。犬も特定の男性に慣れても、他の男性には恐怖心を示すことがある。特に人より五感の優れている犬は、慣れた相手に似たような人であっても、その違いを明確に区別するため、馴化をさせるためには非常に根気が必要となる。

刺激般化(しげきはんか)
刺激特定性はあるものの、馴化の練習を行っていくうちに似たような刺激にも慣れることを刺激般化という。犬も特定の男性に慣らすことで似たような容姿の男性にも慣れることがあるが、五感の優れている犬は人に比べ般化が起こりにくい。

試行錯誤(しこうさくご)
エドワード・L・ソーンダイク(Thorndike, E. L)が発見した動物の学習の基本原理。動物は課題を解決するまでに様々な反応を試み、失敗を重ねるうちに解決に至る行動様式を選択する。試行錯誤学習は、課題で起こる、刺激と反応は、快刺激が与えられる場合は刺激に対する反応は強くなり、不快刺激が与えられる場合は刺激に対する反応を弱めるといったように、オペラント条件付けの元になっている学習理論である。

自己主張性攻撃行動(じこしゅちょうせいこうげきこうどう)
犬が自らの主張を通すために示す攻撃行動。主に負の強化によって身につける。以前は犬が人間を含めた家族の中でボスになろうと試みるために攻撃行動がおこるとされ、これらは優位性攻撃行動、αシンドロームと言った用語が使用されていた。しかしながら、そもそも犬は人間に対し上下関係、優劣を求めないことが明らかとなってきたため、誤解を招く優位性攻撃行動、αシンドロームといった用語は使われなくなり、代わりに自己主張性攻撃行動という用語が用いられるようになっている。

失宜行動(しつぎこうどう)
失宜行動は、葛藤行動と異常行動に区別される。欲求不満や葛藤、ストレスなどが原因となり発現する行動。葛藤行動とは心の中に相反する動機、感情などが2つ以上同時に存在する場合に示す行動。また異常行動とは、行動の頻度や強度、様子が正常から逸脱したものを指す。

自動反応形成(じどうはんのうけいせい)
誘発法を用いた反応形成の一手法で、古典的条件付けの手続きを用いるもの。例えば、犬に何かの対象物に近づくという行動の反応形成を行う場合、その対象物(中性刺激)を提示すると同時、もしくは直後におやつ(無条件刺激)を与えるとこで、その対象物が陽性感情を呼び起こす条件性刺激となる。次に、対象物が呈示された時に、犬がその対象物に少し近いたタイミングにおやつが与えられると、近づく行動が強化されることになる。つまり、無条件刺激であったおやつは、結果的に近づく行動の強化子となる。しかし、この手法はあくまで古典的条件付けの手続きを行うため、仮に犬が対象物から離れても同じ手続きを繰り返すことになる。つまり、意図的な行動の強化や消去は行わないことも、自動反応形成の特徴と言える。

シトロネラカラー
スプレーカラーの一種で、犬が吠えると装置に仕込まれているシトロネラというハーブの液体が犬の顔にスプレー状になって噴射される。犬にとって嫌悪刺激となる匂い、噴射音を与えることで無駄吠えなどの問題行動を修正する際に用いられる。使用方法を誤ると、嫌悪刺激に馴れてしまったり、逆にスプレーの刺激に対して過剰な恐怖反応を起こすこともあるので、使用する際には犬の行動評価を適切に実施することが必要である。

自発的回復(じはつてきかいふく)(オペラント条件付けにおける)
消去(オペラント条件付けにおける)を行ない反応しなくなった後、弁別刺激を提示すると反応を示すこと。例えば、人を見る(弁別刺激)と要求吠え(反応)をして、相手にしてもらう経験(正の強化子)をしてきた犬に消去を行う。つまり要求吠えに対して相手にしない対応をしたことで要求吠えが減ったとしても、後日、人を見た時に要求吠えの反応が見られることを自発的回復という。

自発的回復(じはつてきかいふく)(古典的条件付けにおける)
古典的条件付けで消去の手続きを行い、条件刺激によって条件反応が生じなくなったとしても、時間が経過すると条件刺激によって条件反応が生じる。このような消去を行っても再び条件反応が生じることを自発的回復という。褒め言葉とご褒美を条件付けした後、消去の手続きを行うと褒め言葉をかけられるだけでは徐々に嬉しい感情が生じなくなるが、時間が経過した後に褒め言葉だけをかけると嬉しい感情が生じる。自発的回復は、消去の手続きを繰り返すことで徐々に小さくなっていく。

自発的回復(じはつてきかいふく)(馴化における)
馴化を行い、無条件刺激によって無件反応が生じなくなったとしても、時間が経過すると無条件刺激によって無条件反応が生じる。このような馴化を行っても再び無条件反応が生じることを自発的回復という。一度慣れた音にも、しばらく時間が経ってから聞かせると再び恐怖反応を示すことがある。自発的回復は、馴化の練習の間隔が長くなるほど大きくなるため、馴化を行う際は練習の間隔を開けずに継続して行う必要がある。

社会化(しゃかいか)
犬が人社会で共存するために、社会性を身につけること。例えば、パピークラスやパピーパーティーで経験するような、様々な環境刺激に対する馴化や、さらに出かけた先々でトレーニングを行い、犬が適切な振る舞いができるようにすることも含まれる。

社会化期(しゃかいかき)
主に3~12週の時期を指すが犬種や個体によっても差がある。五感、運動神経が発達し、様々な事象に対し好奇心を持つ時期である。新規刺激に対し恐怖心、警戒心がないまたは低い時期であり、子犬が人や犬、物事、場所などに対し愛着を形成する、適切な振る舞いを身につけるのに適した期間である。この時期に適切な経験をしていなければ、将来、同様の状況下に置かれた場合に適切な行動が取れない問題が生じる可能性が高いため、早期母子分離はこの時期に母親や同腹犬から適切な学習ができないことが問題になる。

社会空間行動(しゃかいくうかんこうどう)
各個体が互いに特定の距離をおいて位置する行動。もしくは個体が特定の場所に位置する行動。犬では他の犬や人などと一定の距離を保とうとするが、その距離は個体によって異なる。マーキングによって自分の縄張りに匂い付けをする行動がこれに含まれ、特に雄犬によくみられる。一般的に、マーキングは屋外で見られることが多いが、室内でも見られ、新しいものを導入したり、他の動物などを飼い始めたりすることで、頻度が高まることがあるとされている。

社会行動(しゃかいこうどう)
複数の個体が関係することによって発現される行動。維持行動(社会空間行動、敵対行動、親和行動、探査行動、遊戯行動)、生殖行動(性行動、母子行動)、失宜行動(葛藤行動、異常行動)に分類される。

社会的促進(しゃかいてきそくしん)
他個体の行動を観察することにより個体の行動の動機づけのレベルが高くなる現象。他の個体の行動を観察することで、同様の新しい行動を獲得する「モデリング法(模倣学習)」と混同されること多いが、社会的促進はあくまで動機づけに作用するものであり、新しい行動を獲得するわけではないため、動物行動学では区別されている。子犬の場合、複数の個体に同時に餌を与えると、個々で与えられた時よりも摂食量は増加し、このような摂食行動の社会的促進効果は犬でよく知られている。

社会罰(しゃかいばつ)
オペラント条件づけにおいて他個体(飼い主や他の犬など)との社会的な関わりを断つことによって与える負の罰のこと。もちろん他個体との関係が強化子となる場合でないと機能しない。犬のしつけにおいてはタイムアウト法として用いられる。

ジャックポット
特定の条件反応を効率的に引き起こさせるため、与える強化子の量を増やす、より好むものを与えるなどする手法。正の強化でトレーニングしている際、ジャックポットを使うことで、特定の反応をより顕著に増加させることが可能である。

若齢期(じゃくれいき)
社会化期が終了してから性成熟するまでの期間のこと。上限は、6ヵ月~12ヵ月齢と幅広く、犬種や個体によって差がある。社会化期を適切に過ごし、人や犬、物事、場所などに対し愛着を形成したとしても、若齢期の経験が乏しく、適切な社会的強化が行われなければ、愛着をもった対象でも恐怖心をいだくようになることもある。したがって、若齢期は「第2の社会化期」ともいわれ、社会化期に次いで人と共に生活するために必要な経験を学習させる重要な時期とされている。

習得的行動(しゅうとくてきこうどう)
生後の経験や学習によって獲得した行動のこと。

受動的服従(じゅどうてきふくじゅう)
犬が自分に向けられる攻撃や威嚇などの敵対行動に対し、争いを避けたり、攻撃の緩和などのため、受動的に敵意がないことを示す行動。仰向けに寝転がり、尾を巻き込んで腹を見せる姿勢を維持する。服従性の排尿を伴うこともある。

馴化(じゅんか)
無条件刺激を提示し続けることで、無条件反応が減少することを馴化(慣れ)という。犬が雷の音を初めて聞いた際に驚いても、何度か聞くうちに雷の音を聞いても反応しなくなった場合、この犬は雷の音に馴化したことになる。

順行連鎖(じゅんこうれんさ)
反応連鎖を、一連の反応順に結びつかせること。例えば、『冷蔵庫からペットボトルを取ってくる』反応連鎖を行う場合、まずは冷蔵庫に行くことから教え(a)、次に冷蔵庫を開ける(b)、ペットボトルを口にくわえる(c)、冷蔵庫を閉める(d)、そしてペットボトルをハンドラーに持って行く(e)、という一連の流れを初めの反応からa→b→c→d→eと学習させていくこと。そしてこれは、1つ1つの反応つながりであって、逐次接近法ではない。

順行条件付け(じゅんこうじょうけんづけ)(古典的条件付けによる)
条件刺激の後に無条件刺激を提示する方法を順行条件付けという。犬のトレーニングで褒め言葉の「いいこ」を教える際、順行条件付けを用いて強化するときは、「いいこ」と声をかけてから食べ物を与える。順行条件付けはさらに、延滞条件付けと痕跡条件付けに分けられるが、条件付けの中で最も条件反応が大きく効果が高い。

消去(しょうきょ)(オペラント条件付けにおける)
弁別刺激を与え、反応を示した後に強化子を与えない手続きを続け、次第に反応の頻度が減っていく過程のことをいう。動物は、『反応と強化子の間に関係性がない』ということを学習するが、既に覚えている弁別刺激→反応→強化子の学習を忘れるわけではない(自発的回復(オペラント条件付けにおける)を参照)。

消去(しょうきょ)(古典的条件付けにおける)(古典的条件付けと忘却)
条件刺激によって条件反応が生じるようになっても、条件刺激を提示してから無条件刺激の提示をしないことを続けると、条件刺激を提示したさいの条件反応が弱まるが、このような過程を消去と呼ぶ。褒め言葉の後にご褒美を与えると、褒め言葉をかけるだけでご褒美をもらった時と同じような嬉しい感情が働くようになるが、その後、褒め言葉をかけるだけでご褒美を与え続けないと、褒め言葉をかけられるだけでは徐々に嬉しい感情は弱まってくる。しかし、消去を行えば完全に忘れてしまうわけではなく、あくまでも反応が弱まるわけで学習したことを忘却するわけではない。

消去抵抗(しょうきょていこう)
条件づけされた反応は強化される刺激がなくなるとすぐに反応が消失されるわけではなく、徐々に発現頻度が低下していくが、強化スケジュールや頻度によって消去されるまでの時間は長くなる。特に部分強化で条件づけされた反応に関しては、消去抵抗性は強くなり消去されにくい。

消去バースト(しょうきょばーすと)(オペラント条件付けにおける)
消去(オペラント条件付けにおける)手続きの最中、反応の頻度が減っていく一方で突然反応が激しくなること。例えば、犬の要求吠えに対して無視をする消去手続きを行っている際、吠える頻度が減っているのに、急に吠えが激しくなるこという。ここで、相手にしてしまうと、次からは同じぐらい激しく吠えるようになってしまうので、消去を行う場合には自発的回復(オペラント条件付けにおける)及びこの消去バーストの予備知識が必要となる。

消去バースト(しょうきょばーすと)(古典的条件付けにおける)
自発的回復が生じる際に、以前の反応よりも強く反応が生じてしまうことを消去バーストという。消去バーストは、条件刺激の後に無条件刺激が提示されていたにも関わらず、条件刺激のあとに無条件刺激が生じなくなったフラストレーションによって引き起こされると考えられる。飼い主の外出に不安を感じる犬は、飼い主が外出の際に持つ鍵の音が条件刺激となって不安を感じるように学習するが、飼い主が鍵を持っても外出しないといった消去(古典的条件付けにおける)の手続きを行うと、徐々に鍵の音には反応を示さなくなる。しかし、消去の手続きの際に反応が弱まっても、消去 (古典的条件付けにおける)バーストが生じ以前よりいったん反応が強くなることがある。

条件刺激(じょうけんしげき)
中性刺激が学習によって特定の反応(条件反応)を引き起こすようになった場合、特定の反応(条件反応)を引き起こす中性刺激は条件刺激となる。犬のトレーニングでは、「褒め言葉」、「クリッカー」などが条件刺激である。

条件性強化子(じょうけんせいきょうかし)
一次性強化子と対提示された中性刺激が、同時条件付けによって一次性強化子と同等に働くようになった場合、その中性刺激は条件性強化子となる。トレーニングで用いられるほめ言葉やクリッカーは、初めは犬にとって中性刺激だが、餌やおもちゃなどの一次性強化子と対提示することによって条件性強化子となるため、正の強化を用いる際に快刺激として利用できるようになる。また、インターホンで吠えるようになった犬は、たまたま吠えた際にいなくなった嫌悪刺激である来客(一次性強化子)と古典的条件付けで結びついた般性強化子である。このように、一次性強化子に直接結びついた条件性強化子を二次性強化子と呼ぶ。さらに、二次性強化子と対提示された中性刺激が、二次性強化子と同等に働くようになることもあり、この場合、二次性強化子に直接結びついた条件性強化子を三次性強化子と呼ぶ。

条件付けの時間的関係(じょうけんづけのじかんてきかんけい)(古典的条件付けにおける)
条件付けを効率よく形成するためには条件刺激と無条件刺激の時間的な関係が重要となる。条件刺激と無条件刺激の提示する順番によって、条件付けの方法は順行条件付け、同時条件付け、逆行条件付けに分けられる。

条件反応(じょうけんはんのう)
無条件反応が学習によって特定の刺激(条件刺激)によって引き起こされるようになった場合、特定の刺激によって引き起こされる無条件反応は条件反応という。

常同行動(じょうどうこうどう)
失宜行動の異常行動に分類される目的や機能がない反復した行動のこと。ストレス下や葛藤状態で観察され、刺激が少ない制限された、また不適切な環境で飼育されることで生じ、転位行動に対し何らかの強化子が作用し定着するとされている。犬では尾追いやフライバイティング(キャッチング)、異嗜、皮膚を舐め続けると言った行動が見られる。

常同障害(じょうどうしょうがい)
ストレス状況下や葛藤下などの行動を引き起こす刺激がないにも関わらず見られる目的や機能がなく、高頻度で長時間続く反復した行動。オピオイド神経系およびドーパミン神経系の神経伝達物質が関与している。雌より雄に多く見られるものの決し多い疾患ではない。鑑別診断が必要で、治療には行動治療に詳しい獣医師による薬物療法とともに行動修正を平行して行う。

食糞(しょくふん)
異嗜に分類され、その性質上、飼い主に問題行動として認識されやすい。寄生虫感染などとの鑑別診断を要する。また、給餌量や飼育環境を5フリーダムに基づき見直す必要もある。子犬期は遊戯行動、摂食行動として行う事がある。多くの場合、成長とともに排泄回数が減るため、飼い主が糞の処理をしやすくなり犬が糞にアクセスする機会がなくなることで解決するが、糞自体や飼い主の反応などが強化子となり行動が定着してしまう事がある。

食物関連性攻撃行動(しょくもつかんれんせいこうげきこうどう)
食物に関連する攻撃行動で、食事中の犬に近づいたり、犬用ガムや食器に近づく片付けるなどすることに対し、唸ったり噛んだりする行動。もちろん犬同士でもおこる。所有性攻撃行動と同様に、人に自覚がなくても犬が食物に関連したものを取られるかもしれないという不安から生じるため、不安を抱かない環境で給餌することが必要である。学習による要因も大きく、過去に満足な食事を取れなかった経験のある犬はこの攻撃が激しい傾向がある。

所有性攻撃行動(しょゆうせいこうげきこうどう)
犬自身が所有していると認識しているものに対し、近づいたり、取り上げたりすることで生じる攻撃行動。たとえ人間に犬の所有物を取り上げるという自覚がなくても犬自身がそう感じれば攻撃行動は生じる。おもちゃなどで見られることが多い。守るべき所有物がなければ生じないため、物の管理が重要となる。おもちゃで遊んでいなかったのに片付けようとしたら噛まれる場合もこれに当たる。

真空行動(しんくうこうどう)
欲求不満などの葛藤状態において、本来の行動すべき対象がないにも関わらず行動だけが発現すること。犬ではフライバイティング(キャッチング)や凝視といったことが見られる。

新生児期(しんせいじき)
生後2週までの時期を指す。一日のほぼ90%を寝て過ごし、自分で排泄することもできず、母犬に全てを依存している。

身体的誘導法(しんたいてきゆうどうほう)
目的の行動をさせるために対象の動物を誘導し、新しい行動を獲得する手法。例えば、おやつを持った手を犬の前に出し、その手を犬の鼻先から頭上にあげる(誘導する)ことで犬を座らせ、強化子を与えるトレーニング方法がこれにあたる。犬の場合、動くものを追いかける習性があるため、数あるトレーニング手法(反応形成)の中で一番簡便な手法と言える。

親和行動(しんわこうどう)
他個体との共存のため、相手の存在や相手との関係性を確認したり、友好的な関係を築くために見られる行動。犬同士の挨拶(社会探査行動)や遊び(社会遊戯行動)の中で見られるが多い。親和的に挨拶をし、相手の口元をなめたり、傍によって寄り添う光景はよく認められる。母子間における相互グルーミングは親和行動でもあり、母子行動でもある。

随意反応(ずいいはんのう)
動物の意思に基づいた反応。様々な刺激を脳で処理し、それに反応するために随意筋を自らの意思で動かすことによりおこる。

スプレーカラー
首輪型の無駄吠え防止装置で、イヌの吠え声の振動に装置が反応しイヌが嫌がる匂いのするスプレーが顔に噴射される。吠えたときに出るスプレーの匂い、スプレーの噴射音などが罰子となり吠えを減少させる道具。人が直接罰を与えず遠隔罰として使用できるが、刺激に馴れて効果がなくなってしまったり、逆に刺激が強すぎてパニックを引き起こし不安や恐怖を増強させることもあるので、適切な行動評価を実施してから使用を検討する。スプレータイプ以外でも電気ショックカラーもあるが、火傷をするなど罰の副作用が大きいのでヨーロッパなどの地域では使用を禁止している国もある。

刷り込み(すりこみ)
古典的条件付けやオペラント条件付けの強化(オペラント条件付けにおける)を必要としない非常に急速に形成される不可逆的で安定した学習。短い感受期にのみ学習が成立する。インプリンティングとも言う。

静止性弁別刺激(せいしせいべんべつしげき)
反応(行動)と結果(報酬)に随伴しない刺激のことを言う。

生殖行動(せいしょくこうどう)
子孫を残すための行動で、性行動と母子行動を含む社会行動である。犬が性成熟を迎えるのは、だいたい6ヶ月~10ヶ月であり、大型犬に比べ小型犬の方が早熟である。雌犬は半年に一度、発情を迎える単発情動物動物である。交尾の際は、犬では、射精後に雄の尿道球腺が肥大し、数十分もの間、結合状態が続くという特徴がある。

生得的解発機構(せいとくてきかいはつきこう)
動物の生得的な行動が、学習などの影響を受けず特定の鍵刺激によって特定の生得的行動が引き出される機構のこと。
それぞれの動物種によって生まれながらに持っている特異的な行動レパートリーがあり、イヌの新生子期では母イヌの乳首に触れることで乳首を吸う(吸啜反応)が発現したり、移行期などで母イヌが離乳食を子イヌに与える際に、子イヌが母イヌの口先を舐めると吐き戻しが誘発されるなど特定の行動が発現される。

生得的行動(せいとくてきこうどう)
生まれながらに動物に備わっている正常な行動。生得的行動は、個体だけで成り立つ「個体行動」と、他個体間で成り立つ「社会行動」に分類される。さらに機能によって分類することもでき、自分自身および子供や仲間の生命、特に生体の恒常性を守るために現す機能をもつ行動を「維持行動」、自らの子供を残す行動を「生殖行動」と分類することができる。生得的行動は、種によってその表現方法が異なるが、その種に特有な生得的行動の性質を習性と呼ぶ。生得的行動が十分に表現できない状況は、その動物にとってストレスとなる。

正の強化(せいのきょうか)
動物が何らかの刺激を受けた際、その刺激に対して反応したことで良い結果(快刺激)が与えられれば、再び同じ刺激を受けたい際に同一の反応の頻度が増える。このような学習をオペラント条件付けの「正の強化」と呼ぶ。例えば、「スワレ」といったとき犬がお座りをし、結果として好きな食べ物をもらえれば再び「スワレ」といわれた際にはお座りをする頻度が増える。動物は報酬(良い結果)が得られると、脳の中でのドーパミンが上昇し喜び(快感)が増し意欲が高まるため、正の強化で学習した行動を意欲的に行うようになる。そのため、正の強化を中心としたトレーニング方法をモチベーショントレーニングと呼ぶ。

正の強化子(せいのきょうかし)
オペラント条件付けの正の強化で、結果として出現することで反応の頻度を高める快刺激を正の強化子と呼ぶ。「スワレ」といったとき犬がお座りをし、結果として好きな食べ物を与えることでお座りの頻度が増えれば、結果として与えた好きな食べ物は正の強化子となる。

正の罰(せいのばつ)
動物が何らかの刺激を受けた際、その刺激に対して反応したことで悪い結果(嫌悪刺激)が与えられれば、再び同じ刺激を受けたい際に同一の反応の頻度が減る。このような学習をオペラント条件付けの「正の罰」と呼ぶ。例えば、犬が他の犬に吠えた際、飼い主に体罰を与えられれば、再び他の犬を見た際に吠える頻度が減る。しかし、強い嫌悪刺激を与えられると、与えた対象に恐怖心を持ってしまい自己防衛のために咬む・吠えるといった行動が増えたり、恐怖のあまり無気力になってしまったりといった副作用が生じてしまうため、嫌悪刺激の使用には最善の注意を払わなければならない。

正の罰子(せいのばっし)
オペラント条件付けの正の罰で、結果として出現することで反応の頻度を弱める刺激を正の罰子と呼ぶ。犬が他の犬に吠えた際、飼い主に体罰を与えられたことで、再び他の犬を見ても吠える頻度が減るれば、飼い主による体罰は正の罰子となる。

生物学的制約(せいぶつがくてきせいやく)
条件付けにおける連合選択性が、各生物に備わっている生態によって左右されること。例えば、嫌悪刺激の条件付けを行う場合、味覚と胃の不快感は条件付けしやすいが、味覚と電気刺激では条件付けがしにくい。一方で、音刺激と胃の不快感は条件付けしにくいが、音刺激と電気刺激は条件付けがしやすい。この大きな理由は、味覚と胃の不快感は、生物に備わっているため、条件付けが速やかに行われるのである。

摂食行動(せっしょくこうどう)
外部から栄養を取り入れるため、食物を摂取する行動。犬は小腸、大腸ともに雑食性の形態を持つが、植物性タンパクよりも肉を好む傾向がある。また、犬の食べ物に対する嗜好性は、子犬時期の摂食経験に強い影響を受けると言われている。狩りの形態から、まれにしか獲物を獲得できなかったであろう犬はガツガツと食べる傾向にあり、必要以上のカロリーを一度に摂取することがある。摂取量は成長段階、活動度、体内代謝、環境などに応じて決まる。

全強化(ぜんきょうか)
連続強化のこと

先行刺激(せんこうしげき)
反応(行動)に先立つ刺激のこと。刺激には五感で感じる外部刺激の他、体内のホルモン環境の変化による内部刺激も存在する。問題行動修正の際には問題行動を誘発する先行刺激を特定することが必要である。

選択淘汰(せんたくとうた)
進化の過程で、その個体の形質や性質などの特徴が子孫に受け継がれていく中で、その特徴の割合が生物群の中で増えたり(選択)、減ったり(淘汰)すること。

占有性攻撃行動(占有性攻撃行動
所有性攻撃行動のこと

た行

ターゲットトレーニング
目標物を用いたトレーニング手法の1つ。ターゲットは、動物種や教える行動に応じて、人の手や棒、ペットボトルのキャップなど様々。犬の場合、主に鼻先をターゲットにつけることをトレーニングし、この行動を利用して他の行動を身体的誘導法により反応形成する。つまり、ターゲットは視覚的なプロンプトとして働くことになる。

タイムアウト
好ましくない行動を減少させる行動修正のひとつ。負の罰を用いたトレーニング方法。例えば、人の手に歯をあてることを止めさせたい場合、引っ張りっこの遊びが報酬となる犬において、遊んでいるときに手に歯が当たったら遊びを止めてしまう。数十秒間経過したのちに遊びを再開し、手に歯が当たったら再度遊びを止めるを繰り返す。犬は歯が人の手に当たると遊びが出来なくなるため歯をあてる行動は減少していく。

対立行動分化強化(たいりつこうどうぶんかきょうか)
同時に成立することがない反応に対して、強化子を与える分化強化のこと。例えば、飛び跳ねる犬がいた場合、犬がお座りをしたタイミングに報酬を与える。これを繰り返すことで、その場面では、飛び跳ねる反応が減り、座るようになっていく。非両立行動分化強化と記載されてる専門書もある。

脱制止(だつせいし)
連合された刺激と反応の消去過程において、連合された刺激以外の新奇刺激を与えると一時的に反応が生じる現象。
脱制止の他にも刺激と反応の連合が弱まることで生じる現象に自発的回復がある。

脱馴化(だつじゅんか)
特定の刺激に馴化が生じても、他の刺激が同時に提示されたことによって、再び特定の刺激に反応が生じるようになることを脱馴化という。犬に怖がる音を慣らす練習をしている際に、徐々に慣れてきたところで他の音が聞こえてくると、せっかく慣れた音に再び恐怖反応を示すことがある。そのため、馴化の練習をする際には、なるべく静かで刺激の少ない場所で練習する必要がある。

探索行動(たんさくこうどう)
動物が見知らぬ環境やものに遭遇した際、それがどんな環境でどんなものなのかを確認するために表す行動。犬の場合、匂いを嗅ぐ、聞き耳を立てる、じっと見つめる、噛む、舐めるといった行動が見られる。特に子犬の頃は、初めて見たものを噛んで確認する。

探査行動(たんさこうどう)
犬や人、その他の動物がどのような個体か確認する行動。初めて出会う犬同士は、まず耳や鼻の匂いを嗅ぎ合う。さらに挨拶が発展すると、お互いの陰部や肛門の匂いを嗅ぎあいながらぐるぐると回り始める。陰部や肛門の匂いはそれぞれの犬によって異なるため、匂いを嗅ぐことで相手の犬がどのような犬なのか知ることができる。

逐次接近法(ちくじせっきんほう)
分化強化と反応般化、さらに消去(オペラント条件付けにおける)を繰り返し、段階的に個体の新しい反応を形成する手法。主に、複雑な行動を学習させる場合に用いる。ただし、単純な行動でもいくつかのステップに分け、段階的な強化(オペラント条件付けにおける)を行うことで、逐次接近法になる。例えば、犬に座るといった単純な行動を教える際でも、犬が立った姿勢で尻尾を振っている状態から、尻尾の動きが止まった時に強化子を与え、次に尻尾が下がった時に強化子を与え、次は少し腰が下がった時に与え、最後に腰が地面に着いた時に強化子を与えるトレーニングを行った場合、逐次接近法となる。

中性刺激(ちゅうせいしげき)
動物にとって生まれながらに持つ反応(無条件反応)を生じさせない刺激のこと。

チョークチェーン
犬のトレーニング用の首輪の一つで、金属製のチェーンで作られており、リードに繋げて使用する。リードを引くとチェーンが犬の首を締める構造をしており、望まない反応をしたときにリードを引いて一瞬締めることで痛みを与え罰子として用いることで反応を減少させる道具。
普段は緩めた状態を維持することで首を締めないように使うが、リードを引っ張る習慣がある犬に使用するとただ首を絞めるだけの道具になるので、使い方を間違えると頚椎を痛めたり、窒息状態になり使い方が難しいため専門家の指導が必要である。鎖タイプのものは鎖が擦れる音と首が締まる嫌悪刺激が結びつき二次性罰子として用いることも可能で、鎖タイプのハーフチョークカラーなどに応用し首を締め切らずに反応を減少させることも出来る。

直接罰(ちょくせつばつ)
動物が不快感情を抱くような、叩く、首を掴む、怒鳴るなど嫌悪刺激を直接的に与える罰のこと。過度な嫌悪刺激を与えることで鋭敏化が起こりやすく、罰を与える人の手や足や道具などに恐怖反応を引き起こすこともあり、恐怖に起因する問題行動であればさらに悪化させる可能性がある。

敵対行動(てきたいこうどう)
動物の行動において、社会維持行動に分類される、他個体に対し敵意を示す行動のこと。威嚇行動(犬の場合うなるなど)、攻撃行動(噛みつくなど)、服従行動(お腹を出すなど)、逃避行動(逃げる)が含まれる。

転位行動(てんいこうどう)
葛藤行動の中の一つ。その場の状況に適応するための行動とは関係のない行動を言う。状況にふさわしい正常な行動が阻害され、動物が葛藤・欲求不満状態のときに示すことが多い。代表的な例として、かく、舐める、身震いなどの身繕い行動や、あくび、摂食、睡眠などが挙げられる。これらの行動は、葛藤状態にはない正常な場合でも発現されるものなので、維持行動との区別が困難な場合が多い。犬の場合、未知な場所、あるいは未知の人との対面において、あくびをしたり身繕いしたりする様子はよく観察される。

転嫁行動(てんかこうどう)
葛藤行動の中の一つ。本来向ける行動の対象とは、対象が異なる場合が転嫁行動である。本来の対象に行動が示せないような葛藤や欲求不満の状態で示すことが多い。前後関係と全く関係のない転位行動とは異なり、妨げられた行動や欲求不満による行動が別の対象に向けられる。

転嫁性攻撃行動(てんかせいこうげきこうどう)
葛藤行動の一つである転嫁行動のうち、攻撃が示されるものを言う。本来の対象ではない相手に向けられる攻撃行動で、実際の攻撃対象に近づけないとき、そばにいる無関係な人・動物・ものに対して行われる。いわゆる“八つ当たり”である。ネコで多く、犬では稀と言われている。問題となる典型的な例として、他の犬に対する攻撃性がある犬が、散歩中、他の犬とすれ違いざまに飼い主の足に対して咬みつくというケースがある。(犬では柴犬で見られることが多い)

トイレトレーニング
人からの合図や自発的に所定の場所に行き、排泄をするトレーニングのこと。日本では、トイレシートやトイレトレーの上で排泄をするようにトレーニングすることが多い。

動機づけ(どうきづけ)
モチベーションのこと。動物が行動を起こす際の原動力となるもので、環境刺激などの様々な条件や学習、発達によって程度が変化する。
動機づけの種類としては、個体の生存や種の存続のための生得的な動機づけや自身の好奇心や関心といった内発的な動機づけ、環境など外部からの動機づけがある。

道具的条件付け(どうぐてきじょうけんづけ)
オペラント条件付けのこと。

同時条件付け(どうじじょうけんづけ)
条件刺激と無条件刺激を同時に提示する方法を同時条件付けという。同時条件付けは順行条件付けに比べ条件反応が小さくなる。犬のトレーニングで褒め言葉の「いいこ」を教える際、同時条件付けを用いて強化(古典的条件付けにおける)するときは、「いいこ」と声かけをするのと同時に食べ物を与える。

同種間攻撃行動(どうしゅかんこうげきこうどう)
序列や優位性に起因する攻撃行動。一般的に同性間で見られる。過去、個体間に問題がなくとも、社会的成熟期(12~36か月齢)を迎えることにより、互いの関係性に変化が出ることで見られることもある。子犬期に犬同士の関わりを学習していない犬の場合に見られることが多い。

疼痛性攻撃行動(とうつうせいこうげきこうどう)
体に痛みを感じることによって発現する攻撃行動。怪我や病気によって痛みを感じた際や、注射などの診療の際も起こりやすい。また、子供がこのような犬の上に乗って攻撃行動に巻き込まれることもある。

特発性攻撃行動(とくはつせいこうげきこうどう)
原因不明で発現する攻撃行動。脳炎やてんかんなど中枢神経に何らかの異常が疑われるものの、特定の原因は不明であり、遺伝的要因が強いと考えられている。イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、アメリカン・コッカー・スパニエル、ジャーマン・シェパード・ドッグ、ドーベルマンなどの犬種に見られることが多いと言われているが、稀である。

ドッグダンス
音楽に合わせて犬と人が踊るドッグスポーツ。「ヒールワークトゥミュージック」と「フリースタイル」の2つの部門に分かれている。カナダやイギリスが発祥で、もともとは服従訓練を音楽に合わせて観客に披露するというものだったと言われている。

突発性攻撃行動(とっぱつせいこうげきこうどう)
威嚇などの前兆がなく突然出現する攻撃行動。(突発性=突然発症すること)。特発性攻撃行動(特発性=特別な原因がないのに発症すること)と混同することが多いので注意が必要である。

トレーニングディスク
円形の金属板が数枚ついているもので、イヌが望ましくない行動を発現したときに投げたり、落としたりして音を鳴らして行動を減少させる罰子として使用する道具。本来、二次性罰子として使用するものであるが、いわゆる天罰方式の誤った使用方法が広まっている。金属音に敏感な個体にとっては一次性罰子として恐怖反応を引き起こすので使用する際には注意が必要である。

な行

内発的動機づけ(ないはつてきどうきづけ)
自己の強い好奇心や関心などをもとに行動したことにより満足感や達成感を得られることができ、外発的動機づけのような報酬や罰子を必要としない動機づけ。内発的動機づけの行動は外発的動機づけよりも長期的で楽しく、質が高いと言われており、内発的な動機づけで行動しているにも関わらず、外発的動機付けを元にした行動を強いると逆効果になることもある。

内部刺激(ないぶしげき)
動物の体内に生じる刺激のこと。血糖値やホルモンの増減などがある。

縄張り性攻撃行動(なわばりせいこうげきこうどう)
家の中や庭、車など、犬が自らの縄張り(テリトリー)と認識している場所に入ってくる人・動物に対する攻撃行動。ドーベルマン、ジャーマン・シェパード・ドッグ、秋田、ミニチュア・シュナウザーなどの犬種によく見られると言われている。番犬目的に選択育種された犬種はもちろん、雌犬よりも雄犬によくみられる攻撃行動である。郵便配達員などの来客が対象となることが多く、行動の結果、対象がいなくなるという学習(負の強化)によって状態が悪化するケースがある。

二次条件付け(にじじょうけんづけ)(古典的条件付けによる)
パブロフの実験では、一次条件付け(古典的条件付けによる)されたベルの音と同時にランプを点滅させたところ、ランプを点滅させるだけで犬は涎を流すようになった。このように、古典的条件付けでは、一次条件付けにさらに他の中性刺激が条件刺激となって結びついて反応を形成することを二次条件付けという。「good」という褒め言葉をかけてからすでに一次条件付けとして強化(古典的条件付けにおける)している「いいこ」という褒め言葉を繰り返しかけると、「good」といわれるだけでも犬は喜ぶようになり、「good」も褒め言葉として強化される。

二次性強化子(にじせいきょうかし)
条件性強化子の一つで、一次性強化子に直接結びついた条件性強化子のこと。

二次性罰子(にじせいばっし)
一次性罰子と対提示された中性刺激が、古典的条件付けによって一次性罰子と同等に働くようになった場合、その中性刺激は二次性罰子となる。トレーニングで用いられる“No”という言葉は、初めは犬にとって中性刺激だが、叱る、体罰を与えるなどの一次性罰子と対提示することによって二次性罰子ととなるため、正の罰を用いる際に嫌悪刺激として利用できるようになる。また、トレーニングディスクは、犬にトリーツをみせ、犬が食べる前にトレーニングディスクの音を鳴らしながら取り上げることによって条件付けするが、この手続きをすることで、取りあげられた嫌悪刺激(一次性罰子)とトレーニングディスクの音が古典的条件付けで結びつき、トレーニングディスクの音が二次性罰子となる。

認知的アプローチ(にんちてきあぷろーち)
行動主義的アプローチと異なるアプローチの一つで、同一の刺激に対して異なる反応が起こる事象をブラックボックスのメカニズムも含め、情動などの意識や感情といった高次認知機能を脳科学的なアプローチで観察することで物理的なメカニズムを解明する方法。

ネオテニー
外見や気質、行動など幼体の特徴を残したまま性成熟することで、幼形成熟ともいう。犬の場合、その祖先とされる野生のオオカミと比較すると、体の小型化、耳が垂れる、マズル(顎)が短くなるなどの外見上の変化や、生涯を通して遊び好きといったように気質・行動的にも子オオカミの特徴が色濃く残っているとされている。

能動的服従(のうどうてきふくじゅう)
相手に対して敵意が無いことを積極的に示す行動。頭を下げる、耳を下げる、しっぽを下げる、姿勢を低くする、などのボディーランゲージを示すことが多く、さらに相手の口元をなめるたり、お腹を見せることもある。対象は犬だけでなく、人に対しても行われる。

ノーズワーク
犬の嗅覚を使ったドッグスポーツ。もともとは犬が嗅覚を使う仕事や遊び全般を指し、セントワーク、セントトレーニングとよぶこともある。警察犬が容疑者を追跡したり、行方不明者を捜索する作業、災害救助犬が人を捜す、トリュフを探す、ガン細胞を見つける、などはすべて犬が鼻を使う作業になる。また、犬との遊びの中でフードを探し当てることもこれに当てはまる。競技のレベルによって臭いの種類の数、捜索範囲、誘惑の数が変化する。

は行

徘徊(はいかい)
認知症・精神病や、葛藤状態からの逃避などにより、無意識のうちに目的もなくうろうろと歩き回ること。老犬に多くみられる行動で、認知症の症状として現れることが多い。徘徊は放っておくと、壁にぶつかって怪我をしたり、隙間に入って出れなくなってしまう危険がある。円状のサークル(エンドレスサークル)を活用することで、壁にぶつかることも回避でき、円を描くように歩き回ることが可能となる。

排泄行動(はいせつこうどう)
個体維持行動の一つで、体内の老廃物を体外に排出する行動。犬が自ら排泄を開始するのは移行期以後であり、それまでの新生子期では、母犬が子犬の陰部をなめて排泄を促す。また、子犬は筋肉や神経が未発達なので、成犬と比較し排尿回数は多い。たとえば8週齢の子犬の排尿回数は1日に10~15回程度、5ヶ月齢で6~8回程度である。この時期子犬が排尿を我慢できる時間は、「月例+1時間」が目安とされている。
犬の特性として自分の寝場所(巣)を汚さないよう、できるだけ離れた場所で排泄することがわかっている。さらに、食事(摂食行動)の後、水を飲んだ後(飲水行動)、寝起き、運動・興奮した後に排泄しやすい。これらのことから、犬のトイレのしつけは、寝床とトイレを分けて設置し、上記のタイミングにトイレに連れていけば教えることができる。

ハウス
犬専用の小屋を総称してハウスと呼ぶことが多い。クレート、サークル、ケージすべてを指す。

破壊行動(はかいこうどう)
物を噛みちぎって壊したり、引っかいて破壊する行動。欲求不満や不安、恐れなどが原因で起こる行動であるが、子犬のころは初めて見る物を口にしてどのような物が確かめるために行動をとることが多い。特に4ヶ月から7ヶ月頃に乳歯から永久歯に生え変わることから頻繁にものを噛む行動が発現しやすい。成犬で見られる際は、運動不足などの欲求不満や分離不安などの傾向がある犬が、不安や恐れから物を破壊することが問題としてとらえられるケースが多い。

バスケットマズル
犬のマズルに装着し、噛むこと防止する目的で使用される道具のこと。拾い食い防止などにも使用されることもある。家庭犬のドッグトレーナーは人を噛んでしまう問題行動を修正する際、咬傷事故防止のため使用することがある。装着は氾濫法用いて行うのではなく古典的条件付け、および系統的脱感作を用いて装着することが望ましい。別名口輪。

ハズバンダリートレーニング
動物の健康管理や投薬などを受けやすくするため、所定の動作をさせるトレーニングのこと。例えば、イルカの採血をするために、尾ビレを人に向けて静止することや、パンダに対し、採尿をするために鈴の合図で排泄をするなどのトレーニングがある。犬の場合、採血や爪切りなどの保定などが含まれる。

罰(ばつ)
オペラント条件付けの学習によって、行動の頻度が弱まることを罰と呼ぶ。反応したことで悪い結果(嫌悪刺激)が与えられる正の罰と、反応したことで良い結果(快刺激)が取り除かれる負の罰で行動の頻度は弱まる。

罰子(ばっし)
オペラント条件付けで、結果として出現したりなくなることで反応の頻度を弱める刺激を罰子と呼ぶ。 正の罰で反応を弱める刺激を「正の罰子」、負の罰で反応を弱める刺激を「負の罰子」と呼ぶ。

パピークラス
社会性や人とのより良い関係の基礎を身につけることを目的とした、子犬対象のクラスのこと。様々な環境刺激(音、物、場所など)に対する馴化や拮抗条件付けを行うことで、子犬が将来出会う可能性のある刺激に馴らしていく。さらに、しつけ教室によっては、トイレトレーニングやハウストレーニングといった、人と暮らす上で最低限求められるトレーニング内容が含まれる。

子犬・子猫サービス
子犬・子猫サービス

パピーパーティー
主に子犬同士の社会性を身につけることを目的とした集まりで、参加人数が多くなると、人に対する社会性を身につける場にもなる。ただし、子犬同士の自由な触れ合いが、結果的に他の犬に対する恐怖心を抱かせるてしまう場合があるため、注意が必要。つまり参加時には、他の犬に対する馴化などが行われたか、犬の反応を確認することが重要となる。

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パピーパーティー
パピーパーティー

般化(はんか)(オペラント条件付けにおける)
特定の弁別刺激に反応が生じるようになった際、学習した弁別刺激に類似した刺激に同じ反応が生じるようになることを般化という。犬のトレーニングで“こい”という言葉を弁別刺激で飼い主のもとにくるように学習させた場合、似たような言葉の“おい”という言葉でも飼い主のもとに来るようになったら、般化が生じている。

般化(はんか)(古典的条件付けにおける)
特定の条件刺激に条件反応が生じるようになった際、学習した条件刺激に類似した刺激に同じ条件反応が生じるようになることを般化という。動物病院で獣医師にも強い恐怖心を抱くようになった際、その犬が散歩中に白い服を着た人を怖がるしぐさを示す場合、獣医師(白衣を着ている)と白い服を着た人という似た刺激の間で般化が起こっていると考えられる。

般性強化子(はんせいきょうかし)
条件性強化子の中でも、複数の強化子と結びついているものを般性強化子と呼ぶ。例えば、お金は食べ物などの一次性強化子や、映画のチケットなどの条件性強化子と交換が可能な般性強化子となる。

ハンドシャイ
手で叩く、無理やりさわられる、掴まれるなどの嫌悪的な体験が原因で、犬が人の手を怖がること。犬の体にアクセスする人の手や犬の視覚内で人の手が動くことに対し、身をすくめる、尻尾を股の間に巻く、耳を後ろに倒すなどの恐怖反応を伴う。恐怖の対象である手から逃げるために、場合によっては噛みつくといった攻撃行動を見せ、回避しようとすることもある。犬のしつけ現場では子どものいる家庭(犬の感情を理解せず無理やり触る、身体的に無理な抱き方をするなどの原因による)で多く見られる。

ハンドフィーディング
人の手からドッグフードやおやつなど摂食行動に関わる強化子を犬に与えること。犬の社会化教育において、幼少期からハンドシャイを防止するために古典的条件付けを用いて手に対し陽性感情を抱くように条件付けすることが望ましい。

ハンドリング
動物の行動に応じた対応を行い、その場に適した反応をするように導くこと。犬のトレーニングの場合、各場面において適切な反応をするように、リードでコントールしたり、トリーツで誘導したり、さらにコマンドを与えたりすることなどが、これに当たる。

反応形成(はんのうけいせい)
行動の変動性を利用して、新しい反応をつくりだすこと。シェーピング=逐次接近法と誤解されることが多いが、反応形成のなかの一手法論にすぎない。専門書でも誤って記載されていることがあるので注意が必要である。(反応形成は反応の引き出し方により、「誘発法」、「身体的誘導法」、「鋳型法」、「モデリング法」、「逐次接近法」に大別される。)

反応連鎖(はんのうれんさ)
1つの反応が次の反応と結びつくこと。つまり、1つの反応が合図になり次の反応が起こるということ。(順行連鎖、逆行連鎖参照)

反応率分化強化(はんのうりつぶんかきょうか)
オペラント条件付けにおける強化スケジュールの1つ。低反応率分化強化スケジュールと高反応率分化強化スケジュールがある。前者は、反応がある時間経過後に見られた時に強化させるなど、低い反応率になるよう間隔をあけて反応を強化する。一方後者は、ある時間内に規定数以上の反応見られたら強化されるなど、高い反応率になるように強化するスケジュールのこと。

氾濫法(はんらんほう)
初めから目標のレベルの刺激を提示して馴化させる方法を氾濫法という。成功すれば短時間で馴化させることができるが、鋭敏化が生じやすいため、馴らす練習としてはリスクが伴いやすく(恐怖の再発、刺激からの逃避や鋭敏化が生じるなど)、高度な技術を必要とする。

ピンチカラー
棘状の突起が内側に突出している鎖でできた首輪。使い方はチョークチェーンと同様であるが、突起がピンポイントで痛みを与えるので、少しの力で罰子を与えることが出来る。また、ピンチカラーもチョークチェーンと同様で、使い方を間違えると重大なケガに繋がるので専門家の指導が必要。

ファイトorフライト(ふぁいとおあふらいと)
1929年にキャノンによって提唱された動物の恐怖に対する反応の定義。動物が恐怖などの刺激にさらされると交感神経が活性化され、心肺機能などが上昇しより早く瞬時に動ける緊張状態を維持し、闘争か逃走するか即座に反応できる状態になる。急性ストレス反応ともいわれている。

5フリーダム(ふぁいぶふりーだむ)
1960年代にイギリスで発刊された「Animal Machine]という家畜動物に対する残虐行為などを示した本をきっかけに、家畜動物の管理改善や福祉の確保を目的として採択した国際的に認識されている動物の福祉基準。現在では、家畜、愛玩動物、展示動物、実験動物など人間の飼育下に置かれた動物の福祉にも適応され、その基本となっている。5Freedom(5つの自由(解放))として5項目が定義されている。
①飢えと渇きからの自由(解放)
②肉体的苦痛と不快からの自由(解放)
③外傷や疾病からの自由(解放)
④恐怖や不安からの自由(解放)
⑤正常な行動を表現する自由 

フィードバック
コミュニケーションにおいて情報の受け手が送り手に対し視覚・嗅覚・聴覚刺激などを用いて情報を送り返すこと。

服従行動(ふくじゅうこうどう)
犬が自分に向けられる攻撃や威嚇をそらすために示す行動で、能動的服従と受動的服従に分けられる。この行動には耳を後ろに下げたままにし、しっぽを下げ、股の間に巻き込み、頭を低くし、服従の意味で歯をむき出しにするといった行動や、寝転がりお腹をみせるといった姿勢が含まれる。後者の行動はときどき服従的な排尿(服従性排尿)を伴う。犬は直視することを避け、体を横向きにすることで真正面から対面しないようにする。

服従性排尿(ふくじゅうせいはいにょう)
服従行動の中で見られる排尿。

不随意反応(ふずいいはんのう)
動物の意思とは関係なくおこる反応や運動のこと。内臓の運動や消化液の分泌、心臓の拍動、発汗など不随意筋によって引き起こされる反応がある。犬の場合、ドッグフードを与えると唾液が出るがこれは不随意反応によるものである。

負の強化(ふのきょうか)
動物が何らかの刺激を受けた際、その刺激に対して反応したことで悪い結果(嫌悪刺激)が取り除かれれば、再び同じ刺激を受けたい際に同一の反応の頻度が増える。このような学習をオペラント条件付けの「負の強化」と呼ぶ。例えば、触られることを嫌う犬を無理に触った際、その犬が咬みついてきたので触るのをやめると、再び触ろうとした際にその犬が咬みついてくる頻度が増える。

負の強化子(ふのきょうかし)
オペラント条件付けの負の強化で、結果として消失することで反応の頻度を高める嫌悪刺激を負の強化子と呼ぶ。触られるのが嫌いな犬を触った際、犬が咬みついてきたので触るのをやめたことで、次に触ろうとしたときに咬みついてくる頻度が増えれば、結果として消失した触ることは負の強化子となる。

負の罰(ふのばつ)
動物が何らかの刺激を受けた際、その刺激に対して反応したことで良い結果(快刺激)が取り除かれれば、再び同じ刺激を受けたい際に同一の反応の頻度が減る。このような学習をオペラント条件付けの「負の罰」と呼ぶ。例えば、犬が飼い主に構ってもらいたくて飛びついた際、飼い主に相手にしてもらえず無視されれば、再び飼い主に構ってもらいたいときに飛びつく頻度が減る。

負の罰子(ふのばっし)
オペラント条件付けの負の罰で、結果として消失することで反応の頻度を弱める刺激を負の罰子と呼ぶ。犬が飼い主に構ってもらいたくて飛びついた際、飼い主に相手にしてもらえず無視されたことで、再び飼い主に構ってもらいたいときに飛びつく頻度が減れば、飼い主が相手をしなかったことは負の罰子となる。

部分強化(ぶぶんきょうか)(オペラント条件付けにおける)
反応の後に連続でなく、強化子を与えたり与えなかったりする手続きをいう。このスケジュールには、固定比率スケジュール、変動費率スケジュール、固定時隔スケジュール、変動時隔スケジュールなどが含まれる。

部分強化(ぶぶんきょうか)(古典的条件付けにおける)
条件刺激を呈示した時に無条件刺激を呈示したりしなかったりする手続きのことをいう。連続強化に比べると、部分強化消去効果が得られやすい。

部分強化消去効果(ぶぶんきょうかしょうきょこうか)
古典的条件付けおよびオペラント条件付けにおいて、ある反応を消去する場合、連続強化によって条件付けされた学習や、連続強化により強化(オペラント条件付けにおける)された行動よりも、部分強化の手続きを受けた条件付けや行動のほうが消去は遅くなる。この現象を部分強化消去効果と呼ぶ。すなわち、オペラント条件付けにおいてある行動を学習させ、その行動を消去したくない場合、行動を学習するまでは連続強化を行い、学習が成立してからは速やかに部分強化に移行することで学習した行動を消去しにくすることができる。

分化強化スケジュール(ぶんかきょうかすけじゅーる)
部分強化(オペラント条件付けにおける)の1つで、基準以上の反応や両立することができない反応に対して報酬を与える強化スケジュール。反応率分化強化、対立行動分化強化などがこれに含まれる。

フライキャッチング(フライバイティング)
虫がいないにも関わらず空中に向かって口で捕まえるかのような行動。常同行動、常同障害の一つで神経伝達物質が関与している。別名ハエ追い行動。

フライボール
1970年代後半にアメリカで考案されたドッグスポーツ。チーム競技と個人競技があり、チーム競技は、基本的に4人のハンドラーと4頭の犬がリレー形式で競うもの、個人競技は1人のハンドラーと1頭の犬がタイムトライアル形式で競うものである。どちらも4つのハードルとボールが飛び出すボックスが設置された、直線のレーンで行われる。犬は、コースに並べられた4つのハードルを跳び越し、フライボールボックスを操作して、そこから飛び出たボールを咥え、再びハードルを跳び越し戻ってくる一連の動作を行う。チーム競技では、この動作をリレー形式で行い、タイムを競う。個人競技では、1頭のみで行いタイムを競う。

ブラックボックス
動物の行動は外部刺激に対して反応した結果であるが、動物は五感で感じ取った刺激を情報として脳内で処理し、効果器を動かすことで初めて行動が発現する。行動学では外部からは観察できない、刺激の入力や情動を含めた刺激の処理方法などの行動発現に関わる要因はブラックボックスとして扱う。行動的アプローチ(行動主義)を主とした行動学では、ブラックボックスに入力される刺激と出力された行動の関係性について追求することで未知の過程であるブラックボックスは重要視しないが、認知的アプローチを主とした動物行動学では科学的なアプローチとして刺激に対して脳や神経がどのように反応し、行動として発現しているのかを重視する。

フリーシェ―ピング
プロンプトなしに動物の自発的な行動を強化し、目的の行動を学習させる手法。犬の場合、主にクリッカーを使用して行われる。

プレマックの原理(ぷれまっくのげんり)
動物がしたいと思っている行為が強化子として働く原理のこと。行動頻度の低い行為の後に、頻度高い行動をさせることで、前者の行動が強化(オペラント条件付けにおける)される。レトリーブが大好きな犬の場合、オスワリをした後にレトリーブをすることで、オスワリする行動が強化される。さらに、草むらに行くといつも排泄をしてきた犬に対し、オスワリをした後に排泄をさせることを繰り返すことで、草むらの前で座る行為を学習する。

プロンプト
目的の行動を示せるように与える刺激のこと。例えば、人の横に犬をつけるトレーニングをする際、人の横にくっつきやすくするために壁などを用いることがある。この時の壁をプロンプトという。ただし、正確な行動の獲得をするためには、プロンプトは徐々に減らせるものが良い。そこでこの場合は、壁ではなく、高さ調整可能な伸縮カラーコーンなどを用いた方が、人の横につく行動の獲得がしやすくなる。食物による誘導、体を触るといった物理的刺激、壁などの物を用いて動物の行動を制限する、他個体の行動など目的の行動のヒントになるものは全てプロンプトである。

分離不安(ぶんりふあん)
留守や夜間など家族(飼い主、同居動物など)と離れる状況を予期した時から生じる不安反応をいう。不安から様々な行動が見られ、しばしば問題となることがある。吠える、鼻をならす、破壊行動、不適切な場所での排泄、自傷行為などが例として挙げられるが、これらの反応が分離して30分以内から見られること、飼い主がいるときは見られず、分離したときのみに見られるなどが特徴である。原因としては、飼い主と離れることに対する馴化不足、離れる際や帰宅時の過度な愛情表現などさまざまなことが考えられるが、飼い主の生活パターンの変化などがきっかけとなって分離不安となることもある。分離不安の治療には行動修正はもちろんだが、薬物による治療が必要になる場合もある。

ヘッドカラー
イヌの後頭部とマズルに紐をかけて顎の下で止めることで頭の動きをコントロールする道具。リードは顎の下に伸びるヘッドカラーに装着し、散歩などでイヌが引っ張ったり、突然飛び出したりすると後頭部とマズル部分が締まり動きを抑制する。また、力が加わる部分が顎の下になるので、前方に引っ張ろうとしても顔が横に向いてしまい前に進む力が分散されるため、小さな力でイヌをコントロールできる。装着を嫌がり、外そうとする個体が殆どで、装着には馴致が必要である。個体によっては興奮しその場でグルグル回ったり、突発的に飛び出すことで頚椎を痛めたりするので使い方が難しいため専門家の指導が必要である。

ペットロス
ペットを失うことによる喪失感のこと。ペットを失うこと自体をペットロスと定義づけることもある。ペットロスによって生み出される心身への症状、疾患をペットロス症候群といい、これらの症状については個人差が大きい。代表的なものとしては、うつ病、不眠、情緒不安定や疲労、無気力、摂食障害などが挙げられる。

変動時隔スケジュール(へんどうじかくすけじゅーる)
部分強化スケジュールの一種。固定時隔と異なる点は、強化子が与えられるまでの時間の間隔が毎回変動するということ。

変動比率スケジュール(へんどうひりつすけじゅーる)
部分強化スケジュールの一種で、異なる反応の回数に応じて、報酬を与える強化方法のこと。例えば、特定の反応回数が1回で報酬を得られることもあれば、3回で報酬を得られこともある。これは、一見ランダムに報酬を与えているようであるが、あらかじめ報酬を与えるための平均回数を設定したスケジュールのため、厳密にランダムとは言い切れない。

弁別(べんべつ)(古典的条件付けにおける)
特定の条件刺激に条件反応が生じるようになった際、学習した条件刺激以外の刺激では同じ条件反応が生じないことを弁別という。特定の男性に恐怖心をいただくようになっても、同じような容姿や年齢の男性には恐怖反応を示さない場合、弁別が起こっていると考えられる。

弁別学習(べんべつがくしゅう)
特定の反応を起こすきっかけになる先行刺激を学習すること。犬のトレーニングであれば、「オスワリ」の合図で座る、「フセ」の合図で伏せることを学習すること。

弁別刺激(べんべつしげき)
特定の反応を起こすきっかけになる先行刺激のこと。犬のトレーニングであれば、「オスワリ」や「フセ」といった合図がこれに当たる。

防護的攻撃行動(ぼうごてきこうげきこうどう)
飼い主や同居犬などが威嚇されていると犬が認識した際に、守ろうとする攻撃行動。例えば飼い主に対して、人が近づいてくることや、他の犬が飛びつこうとして、それを犬が脅威だと感じた際に発現することがある。犬自らが恐怖を感じて発現する恐怖性攻撃行動との判別が難しく、飼い主は勘違いしていることも多い。また、縄張り性攻撃行動とは異なり、縄張りの外でも起こる。母性による攻撃行動をこれに含める場合もある。

母子分離(ぼしぶんり)
母親とその子が離れること。犬の場合、母親から子犬を引き離し、子犬を新しい環境下に連れて行くことを指す場合が多い。6週齢など早期に母子分離をされた個体は、罹患率や死亡率が高くなったり、食欲不振や体重減少がみられることもある。動物の愛護及び管理に関する法律において、親等から引き離す時期について検討されており、母子分離の時期が注目されている。

捕食性攻撃行動(ほしょくせいこうげきこうどう)
対象の動きや匂いが刺激となり、誘発される攻撃行動。恐怖など情緒的な変化を伴わないことが特徴である。行動の分類としては、摂食行動、捕食行動として分類されるが、本来の犬の捕食対象以外に行動が向くことにより、攻撃行動としてとらえられる。忍び寄り、追いかけ、捉え、咬みつき、殺して食べるという行動からなり、これら一連の行動が最初から最後まで起こることもあるが、途中で止まることもある。小動物、乳幼児、高齢者、身体障がい者、自転車、バイクなどが対象となりやすいが、特に素早く動くものに対し発現することが多い。注視、忍び歩き、低い姿勢などの捕食姿勢に引き続いて生じることが多いが、威嚇が起こらないことも特徴である。

母性行動(ぼせいこうどう)
妊娠から分娩、養育の過程で発現する複数の行動のこと。巣作り、授乳、子犬を温める、グルーミング、巣戻し、母性攻撃行動、子犬への行動抑制などが挙げられる。これらの行動は、子犬の発達において重要なものであり、相互に作用しあって発現する。特に子犬をなめるグルーミング行動は、不安行動やストレス反応性を決めるものとされている。また、母性行動は偽妊娠によっても発現することがわかっており、発情期から2か月ほどたった雌犬が、巣作りをしたり、ぬいぐるみや巣を守ろうとする行動などが見られる。

母性による攻撃行動(ぼせいによるこうげきこうどう)
妊娠中や出産間近、出産後に発現する攻撃行動。出産場である巣に近づいたり、子犬への接近や接触を試みる犬や人に対して、歯をむき出して唸る、歯を当てる、噛みつくなどの攻撃行動を見せる。これらの行動は偽妊娠中の雌犬にも見られる。

ボディーランゲージ
体の各部位を使って感情を表現するコミュニケーション方法(身体言語)。顔の表情、目、耳、口元や体の姿勢、尻尾の向きや動きなど複雑に組み合わせることによって、自身の感情を表現し、他個体とコミュニケーションを取る。
一般的に尻尾を振っているから喜んでいると認識しがちであるが、不安なときや怖い時でも尻尾を振る場合もある。中でもお腹を見せて仰向けになるボディランゲージで、お腹を触ってほしくて仰向けになる個体もいるが、これ以上何もしないでほしい合図の場合もあるため、不用意に触ると噛みつかれたりする場合もあるので、ボディランゲージを解釈する際には犬の体全体を観察して心理状況を判断することが重要。

本能行動(ほんのうこうどう)
動物が生まれながらに身につけている特異的な行動レパートリーで、学習や練習、及び他個体からの模倣、また、環境からの影響も受けずに発達する行動のこと。別名生得的行動。

本能的逸脱(ほんのうてきいつだつ)
動物の本能行動によって、条件付けられている行動から逸脱すること。例えば、豚にコインを拾い上げる条件付けを行っている途中で、鼻先を地面に付けて引っかけ回したり、アライグマにコイン1枚つまみ上げる条件付けを行っている途中で、コインを2枚にすると、その2枚とこすり合わせるような行動を見せる。前者は、豚が餌を探す行動で、後者は餌(ザリガニなど)の殻を剥ぐ行動である。

ま行

マーキング
片足をあげて排泄した後に尿や糞便を後肢で地面を蹴って飛び散らし、自分の排泄物で自己のテリトリーを誇示するためのにおい付けをする行為。特に雄イヌで多く見られ(雌イヌでも片足をあげる個体もいる)、電柱や立ち木など垂直の対象物のより高い場所に排泄物をかけようとして逆立ちする個体もいる。マーキングは別個体の匂いの上にする事が多いため、匂い嗅ぎを容認しすぎると散歩の時の引っ張られる要因の一つになりやすい。排泄のための排泄行動とテリトリーを誇示するマーキングは目的が違うので分別には注意が必要である。

マウンティング
他個体や飼い主の足、お気に入りの毛布、ぬいぐるみなどを前肢で抱え込み交尾行動と同様に腰を振る動作。性行動の一つとして性的な欲求を満たす場合に行われることもあるが、犬同士で相手に優位性をアピールする場合や、遊びやコミュニケーションの中で興奮したときに交尾行動と同様な動作が見られ雄雌関わらず同性間でも行われる。相手の肩口に顎を乗せて自分の優位性を誇示する場合、遊びの延長・コミュニケーションを目的とした場合(特にパピー同士の遊び)、興奮している時など状況に応じてマウンティングの意味は変化する。飼い主の脚などにマウンティングをしたときに優位性を誇示する行動として認識されやすいが、葛藤行動として行われることが多いと考えられている。

マズルコントロール
犬のマズルを掴んで押さええ込むことで犬を服従させる方法として行われている。近年では、この手法は、力づくで押さえ込むことで犬に恐怖心を抱かせて委縮させ、しつけや問題行動を修正する方法として認識されており、恐怖心から自分の身を守ろうとして、犬の攻撃行動(吠える、噛みつくなど)を引き起こす問題に発展する危険性がある。
世界最大の家庭犬トレーナーの協会であるAPDT(Associaton of Pet Dog Trainers)やアメリカの獣医師と動物行動学の研究者が設立した学会であるAVSAB(American Veterinary Society of Animal Behavior)でも、マズルコントロールやアルファロールなどの方法は、問題行動を増やしたり飼い主との関係性を悪化させる可能性があることを声明として発表している。

身繕い行動(みづくろいこうどう)
舌や歯、肢などを用いて体表をかく行動。物に体をこすりつけること、身震いや尾振りも身繕い行動と含まれることがある。皮膚や被毛を毛についた寄生虫や汚れを取り除く目的や、体毛を整えるために行われる。身繕い行動をグルーミングと言うこともある。自らの身繕い行動だけでは、被毛を清潔に保つことは難しく、定期的なシャンプー、ブラッシング、肛門腺絞り、耳掃除など飼い主が行う必要がある。

無関係性の学習(むかんけいせいのがくしゅう)
特定の刺激を与え続けることで、刺激が動物にとって無関係であることを学習すること。馴化に似ているが、自動的回復が起こりにくいのが特徴である。例えば、多頭飼いで、子犬の頃から「オイデ」という合図を聞き続けた場合。この犬に、「オイデ」で呼び戻しの学習をさせるには時間がかかるため、別の言葉、例えば「Come」などで学習させた方が、早く呼び戻しの合図(Come)を覚える。つまり、子犬の頃から聞いていた「オイデ」という言葉は、自分にとって無関係だという学習をしていたことになる。

無誤弁別学習(むごべんべつがくしゅう)
主に興奮性弁別刺激のみを用いた弁別学習方法のこと。興奮性弁別刺激を提示していく中で、動物が反応しない程度の制止性弁別刺激を提示し、徐々にその刺激を強くしたり数を増やすことで、間違いを経験することなく、弁別学習が成立する。例えば、麻薬探知犬などであれば、はじめ、麻薬の臭いがついたものを探し当てるトレーニングを繰り返し、徐々に周りに異なる物を置いていく、ただしこの時の物は無臭で、探し当てるべき物品からは離れた場所に置いておく。徐々に目標物との距離を近づけ、さらに麻薬の匂いの量も減らしていくことで、失敗の経験をほとんどすることなく、弁別学習が行われることになる。

無条件刺激(むじょうけんしげき)
動物の生まれながらに備わった反応(無条件反応)を引き起こす刺激。犬が餌を見て涎を流す場合、涎を流す反応自体は学習の影響がなく、生まれながらに備わった反応であるため、餌が犬にとって無条件刺激となる。

無条件性強化子(むじょうけんせいきょうかし)
一次性強化子のこと。

無条件反応(むじょうけんはんのう)
学習の影響を受けない、生まれながらに備わった反応のこと。

モチベーション
動機づけのこと。動物をある行動に向かわせる源であるため、行動の発現に影響を与える要因であり、行動の方向性と程度に影響する。
以下の5つ分類される
①個体の生存のための動機付け
②種の存続のための性欲や育児欲といった繁殖性の動機付け
③好奇心や操作欲、接触欲といった内発的動機付け
④情動的動機付け
⑤社会的動機付け

モチベーショントレーニング
フードやおもちゃ遊びなど犬のモチベーション(動機づけ)を意図的に操作する(上げる)ことによって、目的の行動を教える方法。大前提として強化子を得ることのモチベーションが環境刺激を含めた他のどの刺激へ反応するモチベーションよりも上回らなければならない。

モデリング法(模倣学習)(もでりんぐほう・もほうがくしゅう)
他の個体の行動を観察することで、同様の新しい行動を獲得すること。行動に対する強化(オペラント条件付けにおける)がなくとも反応形成が行われる場合もある。犬の場合、他個体の行動を模倣したという研究データがあるものの、問題行動やしつけにおいて人間のように1回見たものを正確に模倣し、改善するかにについては具体的な報告例はない。
この学習方法を利用した反応形成にDo as I Do(私の真似をして)がある。

問題行動(もんだいこうどう)
飼い主が問題と思う行動。さらに動物自身や飼い主、そしてその財産を傷つける行動のこと。犬が警戒心で吠える、という正常な行動でも、飼い主が問題だと思えば問題行動になる。一方、警戒吠えが防犯になると考える飼い主の場合、同じ吠える行動であっても問題行動とはならない。人の生活環境や動物観にもよるため、定義づけが難しいこともある。

や行

優位性攻撃行動(ゆういせいこうげきこうどう)
犬同士の群れ内での順位の形成や維持のために示される攻撃行動。優位性とは、2頭間における力関係で、自らの資源や価値のあるもの(食べ物、寝床、おもちゃなど)への優先権を意味する言葉である。優先権を阻害される葛藤や不安によって発現すると言われている。

遊戯行動(ゆうぎこうどう)
維持行動の一つで、1個体で物を使ったり体を動かして遊ぶ個体行動と、他個体(他の犬や人など)と遊ぶ社会行動がある。犬の場合、ネオテニー(幼形成熟)の結果、成熟後も遊戯行動の頻度が高い動物である。他個体との遊びでは、探査、敵対、親和などの社会行動に組み合わさって見られるが、順位の獲得や攻撃性などの目的は持っていない。特に社会化期における同腹子同士や母犬との遊びは、噛む力の制御やボディーランゲージの習得などにおいて非常に重要な意味を持つと言われている。

誘発法(ゆうはつほう)
動物が目的の行動を示すのを待ち、強化子を与えることで新しい行動を獲得する手法。例えば、犬に座る行動を学習させる際、犬の座る反応を待ち、座ったタイミングに強化子を与えるトレーニング方法がこれに当たる。誘発法の中には、自動反応形成といって、古典的条件付けを用いた手法もある。

要求吠え(ようきゅうぼえ)
吠えることで食物やおもちゃ、人からの関心など犬が要求する結果が得られた経験をすることで、吠え行動が強化(オペラント条件付けにおける)され定着した状態。一般的に三項随伴の結果を変様させることで対処することが多い。

陽性強化法(ようせいきょうかほう)
オペラント条件付けにおける正の強化を中心として行われるトレーニング手法のこと。陰性強化法に比べ、一般的に用いやすく、動物福祉の観点からも推奨される方法である。「ほめるしつけ/トレーニング」と言われることが多く、快刺激(フードやおやつなど)のみを使用する方法と勘違いされることが多いが、不快刺激を与えないことと同義ではない。

四項随伴(よんこうずいはんせい)
三項随伴性の弁別刺激に四つ目の刺激が関連づくことをいう。犬のトレーニングの場合は、周りの環境刺激が四つ目の刺激になることが多く、家の中でオスワリができても、信号待ちの時にできないのはそのためである。

ら行

リミテッドスリップカラー
限定した範囲で止まる構造をしているの首輪で、引っ張っても首を締め過ぎない。顔を通すだけなので着脱が容易。間違えたサイズで装着すると抜けやすくなったり首を締めすぎるので注意が必要。締まる部分が鎖で出来ているハーフチョークカラーは、鎖が擦れる音をチョークチェーンなどで二次性罰子として学習させた個体に装着することでトレーニングに応用することが可能である。

ルアー
目的の反応をより早く形成させるために提示するプロンプトで、食べ物などの強化子のことを指す。食べ物を手に持ち、見せながら誘導し反応を形成するので人道的で効率の良い手法であるが、ルアーへの動機づけが強い場合、反応に連合させたい言葉の合図やハンドサインを隠蔽してしまうことで、食べ物を持っていないと反応してくれないなどこちらが意図する反応を形成できなくなる場合もある。誘導する手と強化子を与える手を別々にすることで、早い段階で誘導する手に食べ物などの強化子を持たなくてもハンドサインと反応を連合させることは可能である。

連続強化(オペラント条件付けにおける)
オペラント条件付けを行う際、動物の反応がある度に、毎回強化子を与える手続きをいう。一般的に部分強化と比べ速やかに反応率が上昇する。ただし、強化子を与え続けることでモチベーションの低下を引き起こし、反応が悪くなるため、学習が成立した段階で部分強化(特に変動比率スケジュール)に遷移した方が良い。

連続強化(古典的条件付けにおける)
条件刺激と無条件刺激を毎回対呈示する手続きをいう。部分強化に比べると、消去が速やかに生じる。

ロングリード
通常のリードよりも長いリードで、数メートルから長さは様々あり、イヌを遊ばせたり、呼び戻しのトレーニングをする目的などで使用する道具。地方自治体によっては公園内でも条例でロングリードや伸縮性のリードなどの使用が禁止されている場所もあるので注意が必要。他の人やイヌに危害を加えないような場所で安全に使用することがイヌを飼育する飼い主のマナーとして日ごろから守らなければならない。

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プロフィール
岡田敏宏
岡田敏宏
ドッグトレーナー・動物看護士・トリマー・ペット共生住宅管理士
埼玉県さいたま市にあるしつけ教室 Pet Life Consulting シンビオーシスで代表を務める。学校法人 中央動物専門学校 動物共生研究科にて、人と犬との関係学、問題行動やトレーニングを中心に動物看護学、美容学、行動学、建築学とマルチの分野を専修。ペット共生住宅管理士を取得し、各犬猫を飼育する家庭にフィールドワークを行いデータを集めながら住宅環境からの問題行動の調査と研究を行う。卒業後、株式会社AHBに就職。 埼玉県の店舗を中心に子犬や子猫を主に しつけ相談や飼育に関わるアドバイザーとして 営業を5年間行いながら年間相談件数2600件 累計1万件近くの豊富な相談件数を誇る。2022年8月に独立し、しつけ教室Pet Life Consulting シンビオーシスをオープン。現在では雑誌「いぬのきもち」にてメイン特集を監修している。【資格】 ◇公認家庭犬訓練士 ◇認定動物看護士 ◇公認動物臨床助士 ◇公認トリマー ◇公認動物共生環境コーディネーター ◇愛玩動物飼養管理士 ◇ペット共生住宅管理士 ◇ペット栄養管理士 ◇2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
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